山中慎介 ネリに借りを返す

　前WBC(世界ボクシング評議会)バンタム級チャンピオン山中慎介(35=帝拳)の再戦が決まった。5日に都内のホテルで会見が開かれ、山中は8月のV13戦でタイトルを奪われた現王者ルイス・ネリ(23=メキシコ)と3月1日(木)の東京・両国国技館でリベンジマッチに挑むことになった。山中vsネリは「ワールドプレミアムボクシング27 The Real」のメインで行われ、セミにはIBF世界スーパーバンタム級チャンピオン岩佐亮佑(28=セレス)の初防衛戦がセット。ダブル世界戦の模様は当日、日本テレビ系列で全国放送される。
　前回、タオル投入によるまかさの4ラウンドTKO負けを喫し、具志堅用高氏と並ぶ日本人世界連続防衛記録が断たれた山中だが、再起を決めたその顔に悲壮感はなかった――。

　「これまでは防衛回数にばかり目を向けられていたが、今回は自分の意思で再起を決めたのだからモチベーションは高い。先のことは考えていない」と晴々とした表情を見せると、「ネリに借りを返したい一心で厳しい練習にも耐えている。前回の試合で良かったところ、そうじゃなかった部分は分かっている。今回は徹底的に悪かったところを直し、攻撃力もそのまま磨いていきたい」と雪辱を期した。

　浜田剛史代表も「ネリには全勝の勢い、強さを感じる。前回は攻め込まれた時の印象の悪さが目立ったので、今回はディフェンス面の強化に力を入れている」とコメント。山中に期待を寄せると、隣に座る岩佐にも「山中がここまで強くなれたのは岩佐選手のおかげ」と感謝した。

　これに山中も「7年前に(日本王座初防衛戦で)岩佐選手に勝ったからこそ成長できた。まさか二人で世界戦ができるとは思ってもいなかった。本当に嬉しい」と答え、二人で勝って喜びを分かち合いたいと話した。

　10年6月の日本タイトル挑戦以来、約8年ぶりに純粋なチャレンジャーとしてリングに立つ山中。8月のネリ戦は消したい記憶であるだけに映像も部分的にしか見ていないと言うが、再戦が決まった以上、すべてを受け入れなければスタートは切れないとも話す。前回同様、ネリが初回から思い切ってくるようなら、そこをチャンスとしなければならない。"伝家の宝刀"左ストレートの切れ味はまだ鈍っていないはずだ。