河野公平がパパとして香港決戦へ

　以前から香港マスメディアでレックス・チョー(29=香港・WBO世界スーパーフライ級1位)との対戦が報じられていた元WBA世界スーパーフライ級王者・河野公平(36=ワタナベ)が、29日、東京・五反田の所属ジムで改めて復帰と対戦に関する記者会見を開いた。この席で河野は、10月7日に香港コンベンションセンターで行われる決戦前にもうひと試合挟む意向と、来月24日前後に第1子を授かることも口にしている。

「昨年末の井上(尚弥)戦では、タフボーイといわれた河野も初めてKO負けをしました。ただ、お酒も一切飲まない禁酒と、56キロを維持する節制生活を続けてきただけあって、まだ成長を期待できる肉体だと、日頃の練習を見ていても感じたんです」

　それならば、せっかく来ている香港でのビッグマッチ・オファーを断る理由もない。そう語ったのはワタナベジムの渡辺均会長だ。
「勝てばランキング1位で挑戦者決定戦なども見えてくる。もちろん世界王座にも再挑戦のチャンスも拒む理由はありません」(同会長)
　レックス戦を前に具体的なことは未定だが、河野にはおそらく外国人選手を招聘する形で再起戦を行うつもりだそうだ。

　さて、昨年末の敗戦から沈黙を続けていた河野だが、体重も大きく増えた様子はなく、錆びついた印象は見られなかった。
「井上に負けたあとは、精神的な疲れから2ヶ月くらい休みましたけど、走るのだけは結構早く再開していました」
　レックス戦の話は河野がWBA世界王座についている頃からあった。結局、そのときの河野は亀田興毅(亀田)と対戦したが、レックス陣営は「井上と戦う前に河野でテストマッチを行いたい」という意向を変えていなかった。

　今回の試合に結びつけるのであれば、亀田戦にも大きな収穫があった。河野といえば、最終回まで完全劣勢だったトーマス・ロハス(メキシコ)戦を最たる例として「距離をとるサウスポー」を極端に苦手としていたのだ。しかし、亀田戦でひとまず「前に出てくるサウスポー」には対応できることを確認できた。
「(サウスポーには)苦手意識を持たないようにしているし、亀田戦では自分が思っていたよりも、多くのパンチを当てることができた。しかも海外で戦うこともできたので、香港で空前のレックス人気のなかでも、自分の才能を存分に発揮できると思います」(河野)

　来月には24日を出産予定日として、亀田戦直前に結婚した妻・芽衣さんとの第1子を授かる予定だ。
「女の子だって聞いているけど、まだ確定ではないみたいです。守るものがひとつ増えたので、今までよりも強い自分を今回で証明したいと思います」
　香港という新境地でタフボーイは、さらにたくましきタフパパを目指す。