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26日、王者・大平剛(30=花形)対指名挑戦者・岨野豊(32=T&Tスポーツ)の日本ミニマム級タイトルマッチが後楽園ホールで行われた。大晦日の世界獲りに失敗した大平は、今回が再起&3度目の防衛戦。対する岨野は、地元・厚木市の200人を超す大声援を背にしてのタイトル初挑戦となった。
大平剛V3
両者とも譲れぬ思いを胸に試合はスタート。序盤は岨野のプレスを大平がスピードとボディワーク、そして左クロスからの右フックで捌き、前半をジャッジ三者とも49-46で折り返した。以降も挑戦者の気勢を削ぐ形でリングを縦横無尽に動き続けた王者だが、7回あたりから岨野の執拗な圧力に捕まり始め、ロープを背にする場面が増えた。すると終盤は勢いづいた岨野に流れが傾き、被弾も多くなった大平だが最後は逃げ切り、三者96-94の判定3-0で再起&V3防衛に成功した。
声援に申し訳ないと岨野
終始、前に出続け終盤の追い上げを見せた岨野だが、前半のポイントを読み誤り、判断ミスを犯したと悔やんだ。「ジャッジに文句があるわけではないが、追っているからポイントになっていると思っていた。それでも大平選手が強くて、チャンピオンになる器が自分にはなかったのかな。応援に来てくれた人たちとサポートをしてくれたジムに申し訳ない」と、顔を拭いながら只々頭を下げた。今後については「体力的に問題はないし、続けたい気持ちもあるが今は分からない。僕はボクシングしか知らないので…」と声を振り絞り、精一杯の笑顔を作った。
採点表
一方の大平陣営。口数の少ない大平に代わり、花形進会長が試合を振り返った。「後半は逃げたと見られポイントを取られたが、(全体を通じて)上手くいったよ。あとは攻めだな。世界を獲るには攻めが必要。もう少し勉強しないとダメだな」と、納得がいかない様子の大平をかばった。
勝者の会見だが…
その大平は「世界戦後は正直モチベーションが上がらず、試合1ヶ月前まで追い込みも出来なかった」と、大晦日のショックを引きずっていたことを明かし、「試合も途中までリードしていたので安全運転になってしまった。ギアはまだ上げられたのに…」と影を落とした。最後に世界再挑戦を聞かれたが、「次はまったく考えていない。今は少し休みたい」と、最後まで喜びの笑顔を見せることはなかった。
栄と西村会長
当然、それだけ自身に課した使命が重いと言うわけだが、いつまでも悲観してはいられない。この日、WBCを除く世界ランクに名を連ねる九州のホープ、日本同級6位の栄拓海(21=折尾)が西村浩明会長と後楽園ホールを訪れ、「ぜひやりたい」と大平に挑戦状を出した。さらに前座のリングでボクシング関係者を唸らせる試合運びを見せた、日本同級4位の拳四朗(23=BMB)も挑戦を希望。次世代の台頭にどう向き合い、そして自らも上を目指すのか――。大平のチャンピオンロードは、より過酷さを増していきそうだ。