波乱のセミファイナル

　13日に後楽園ホールで開催された「ダイナミックグローブ・DANGAN113」。セミファイナルのアンダーカードの、「54.0kg契約8回戦」では、WBC世界バンタム級12位の椎野大輝(三迫)と坂本英生(フジタ)がリングに上がった。

　初回、坂本は低い姿勢からジャブ、さらに踏み込んで右クロスを狙うが、椎野は冷静に見極め、出入りっ鼻にパワージャブをお見舞い。坂本は、2Rに入りワンツー、ボディ、3Rには椎野の右の打ち終わりを狙って右ストレートを痛打させる。椎野は左フックを返すと、右ストレートを合わせダウンを奪う。同時に椎野も尻餅を付いたが、これはスリップと判断。続く4R、ポイント挽回に出た坂本がワンツーで前に出てはカウンターの右ストレートを狙う。これを何発かもらい、ふらつきもした椎野だが、その度に力のあるジャブを返し主導権は渡さず。しかし、椎野の目は徐々に腫れて塞がり、5Rには左フック、右ストレートでダウンを喫する。勢いづいた坂本はさらに攻め続け、最後は終了直前に連打でのストップを呼び込んだ。

　世界ランカーを破る金星を上げた坂本は「自分でも信じられません。走り込みでスタミナを付けたり、良い練習をしてきて良かったです。前回スパーをした時より良い展開で試合ができました。距離をとられると思ったが、意外と感じなかったです」と試合を振り返った。眼窩底骨折により2年のブランクを経てからの快進撃。坂本は「しばらく時間が空いて、倒すという意識が強くなった。気持ちも、取り組み方も変わったので良かったです。次は、山本隆寛(井岡)選手と戦いです」と目標を掲げた。

　眼の周りをひどく腫らせた椎野は「調子は良かったが、相手が強かった。序盤にもらった右で見えづらくなってしまいました。落ち着いて戦えていたとは思います」と試合を振り返った。