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元WBC女子世界フライ級王者で、性別適合手術と戸籍変更を経て、男子プロボクサーとしての復帰を目指している真道ゴー(36=グリーンツダ)が10日、エディオンアリーナ大阪第2競技場で開催された「CRASH BOXING vol.30」で、石橋克之(35=姫路木下)を相手に、3分3ラウンドのJBC準公式試合を行った。
黒星発進
真道がコールされると、会場からは大声援が沸き起こった。真道がジャブから丁寧に組み立てると、ワンツー左フックをヒット。2回、石橋は左フックで膝を揺らし反撃。しかし、偶然のバッティングで、石橋は左まぶたをカットした。その後は激しい打撃戦に突入。真道が左フックをねじ込めば、石橋も回転力を活かした連打で譲らず。「パパ―!がんばれ!」の声が聞こえる中、始まった3回。真道はカウンターの左フックを決めるが、石橋はプレスをかけて攻め立てると、左フックでダウンを演出。ラスト20秒を切ると激しく打ち合い会場を沸かせた。ダウンを奪った石橋が勝利した。ダウンを奪われて男子選手としては、黒星発進となった真道ゴーだが、男子選手としても十分過ぎる評価を得た。
真道ゴー(36=グリーンツダ)
試合後、真道は「楽しく戦うことができた。燃えてしまうタイプなので、ついつい打ち合ってしまった。私と戦ってもメリットがない中、オファーを受けてくれた石橋選手と姫路木下ジムの男気に拍手を送ってください。本石昌也会長、トレーナー、家族、JBCに感謝している。勝つことはできなかったが、面白い試合でしたでしょうか? 今日は本当にありがとうございました」と感謝の気持ちを言葉にすると、会場から盛大な拍手が送られた。
石橋克之(35=姫路木下)
一方、対戦した石橋は「試合が決まった時は『女と試合をするのか』と言われたりもしたが、真道さんの『子どもにリングに上がる姿を見せたい』という記事を見て、自分も3人の息子に格好いい姿を見せたいのは同じだと思った。なので、少しでも協力できればと思い、オファーを受けた。真道さんはスピードがあって、男子選手と変わらないパンチ力。左フックをもらった時はびっくりした」と語った。
プロテストに半歩前進
試合を視察した萩原実・日本ボクシングコミッション理事長は「スピード感があって素晴らしい試合。(プロテストに)半歩前進した」と話したが、「プロテストには、まだ様子を見ないといけない。安全面を最大限に配慮した上でのデータの蓄積が必要」と慎重な姿勢を見せた。
多くのメディアが注目した
安河内剛本部事務局長は「相当な覚悟で臨んでいて、思っていた以上に良いパフォーマンスだった。ダウンをしたが、逆にダウンを取ってもおかしくない緊張感がある攻防だった」と感想を述べた。