西田凌佑が現役続行を決意。ファンの声が後押し!

　前IBF(国際ボクシング連盟)世界バンタム級チャンピオンの西田凌佑(28=六島)が19日、大阪市内の六島ジムで会見を開き、現役を続ける意向を正式に表明した。スーパーバンタム級へ転級することも明言し、復帰戦の時期は負傷した肩の回復次第とした。

　6月8日に有明コロシアムで行われたWBC・IBF世界バンタム級王座統一戦で、WBC王者の中谷潤人(27=M.T)と対戦し、プロ初黒星を喫して王座を失った。試合後、進退が注目されていたが、「負けて悔しくて、引退したら後悔すると思った」と率直な思いを語った。試合後に届いた多くのファンからの激励の声が、現役続行の背中を押したという。

　会見には六島ジムの枝川孝会長と武市晃輔トレーナーも同席。六島ジムの公式YouTubeで配信される中、和やかなやり取りからは、信頼関係がより一層深まっているのが伝わってきた。

　中谷戦後は、「ずっと悔しかった」と現役続行に前向きな姿勢を見せたが、負傷した右肩を手術した場合は、引退することも考えていたという。それでも手術はせずに経過観察と診断されて、再びリングに上がる決意を固めた。減量の影響で肩の筋肉と脂肪がない状態で打たれたため、右肩三角筋損傷と診断され、医師から肩の負傷の原因は減量の影響もあったと告げられたという。

「もう一度世界を目指す」

　西田は「スーパーバンタム級でも減量はきついが、無理のない範囲でできる。階級を上げて、もう一度世界チャンピオンを目指す」と世界2階級制覇に意欲を示した。

　六島ジム枝川孝会長は、「続けるなら、もっと強くして応援する」と、西田の決意を尊重しつつ、今後も全力でサポートする意向を示した。また、「試合前のアップで、納得がいく動きができないとずっと動いていた。そういうのも含めて、これはバンタム級は限界だなと思った」と言及。「体のこともあるし、負けたので良いキリだなと思う。また強い西田を見せてくれると思う」と期待を寄せると、「(スーパーバンタム級の)体が大きな選手にどこまで対抗できるか、そこが大きな課題」と語った。

　武市晃輔チーフトレーナーも、「本人が続けると決めてくれたことは喜ばしい」とコメントし、減量苦が解消されることでパフォーマンスの向上を期待している。一方、上の階級で戦うには、さらなるレベルアップが必要だとも指摘した。

　スーパーバンタム級には、世界4団体統一チャンピオンの井上尚弥(32=大橋)が君臨している。西田は「バンタム級はすごく盛り上がっているが、スーパーバンタム級は、井上選手を筆頭に強い選手がたくさんいる。自分は今はチャンピオンではないので、決められた試合を一つずつクリアして、まずは世界王者に返り咲くこと」と語った。

　枝川会長は「スーパーバンタム級には、井上チャンピオンがいるので、返上しないと動きにくい」と言うと、「これは勝手なイメージだが来年、井上選手と中谷選手が東京ドームで戦うと報道に出ている。井上選手が勝ったら(スーパーバンタムの王座を)返上するのではないかとの噂も出ているので、その後を狙いに行くのが一番の理想」とした。その一方で、「井上選手は、スーパーバンタム級で行けるところまで行くとも聞いているので、そうなったらどうするのかと。フェザー級で噛み合わせの良いチャンピオンとも考えないといけない。今後はどうなるかわからない」とし、状況次第で戦略を変える意向を表明している。

　現在は、ランニングと軽い筋力トレを行い、肩の回復を見ながら8月にはジムワークを再開予定。再起戦について西田は、「冬から来年の春に、できれば世界上位ランカーとやりたい」と意気込みを語った。

　会見後には、YouTubeライブ配信での参加者による質問に答える場が設けられた。「カルデナス(ラモン・カルデナス=米、今年5月に井上尚弥と対戦)と戦いたいか?」との問いには、「オファーがあればやりたい」と意欲を示した。

　武市トレーナーへの「西田選手は誰と戦ったら面白いと思いますか?」の質問には、「注目度と勝負論でいうと井上拓真選手(大橋)が面白いと思う」と興味深いコメントを発した。