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[試合後談話]2023.4.8

阿部麗也は世界の切符を手に入れたのか!

 IBFフェザー級挑戦者決定戦が8日、有明アリーナで行われ、元同チャンピオンでランキング2位のキコ・マルチネス(37=スペイン)と、同3位の阿部麗也(30=KG大和)が対戦した。

阿部の左も入った!

 普段通り、胸の前に構える阿部に対して、ガードを固めてプレスをかけるキコ。2回、キコの左アッパーに腰が落ちた阿部は、左ストレートを返してリズムを取り直した。3回にペースを掴んだ阿部は、中盤に入ると足を使って、キコのスタミナを削ると、6回には、阿部の左アッパーを喰らって足が止まったキコを、ロープに追い込んでパンチをまとめた。阿部は7回に右目上をカット。マルチネスのパンチは、まだ生きていた。中盤から使い始めたキコの右ストレートの威力は健在。阿部も中には入りきれず。10回に入ると、両者足を止めて、カウンターを狙いながら体力を温存。最後まで前に出たキコ・マルチネス。左ストレートとフットワークでリズムを作った阿部麗也。勝負はジャッジに委ねられ、判定: 0-3 (117-111,119-109,119-109)で、阿部が勝利を掴んだ。

天才! 阿部さん。世界へ!

 大きな拍手に包まれる中、試合後のリング上でマイクを向けられた阿部は「相手の距離に付き合わず、中盤からプレッシャーは強くなったが、皆さんの応援のおかげで、最後までできました」と嬉しい報告を済ませ「仕事をしながらボクシングをやっているので、明日からは日常に戻ります」とつづけ、仕事とボクシングと二足の草鞋で、世界を目指すと話した。

片渕剛太会長と阿部麗也(KG大和)

 会見の席についた阿部は「ホッとしてます。実感はないです。マルチネスの圧力は強くて、途中止まってくれなくてきつかったが、自分のパンチは入っていたので、気持ちが切れなかった。ブロックの後のフックは強かった」と試合を振り返った。ペースを掴んで、倒すチャンスがあるように見えたが、「倒せばヒーローになれる」と思う一方で、勝つことの重要性も理解していたとして、リング上で「葛藤があった」と明かした。その上で、「パンチは硬くてタフだった。プレスとメンタルの強さを感じた」と改めて、元2階級制覇王者を称えた。

採点表

 会見に同席した片渕剛太会長は、「良くも悪くもマルチネスは予想通り。序盤にもらったが、ダメージングブローではなかった。5、6回に圧をかけてきたが、6回に阿部がパンチをまとめたところで、勝負あったなと思った」と試合の中盤に勝利を確信。それでも「効いてからがタフ。試合巧者ぶりは、さすがに9年間世界戦線にいる選手だな」と阿部と口を揃えた。この次の試合は、いよいよ世界戦。勝ちを確信していた片渕会長も「倒しに行けとは、強くは言えなかった」と、試合のインターバルを振り返り、「完封できたことは、及第点。詰めに行くのが、今後の課題ですね」と阿部を労った。

キコ・マルチネス(37=スペイン)

 試合後の会見でマルチネスは「大変グレートな選手と戦えたことを光栄に思う。スペインでのテレビ放送を許可してもらったことにも感謝。家族にも感謝。今回は残念ながら、勝利は掴めなかったが、人生は進んでいる」と、この日の試合に上がれたことに感謝し、阿部に関しては「とてもグレートで、引き出しが多く、才能豊かで将来大きくなる選手。勝利を祝福する」と称えた。


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