後楽園ホールで紡がれる伝統と歴史 全日本新人王決定戦前日計量

　先に秤に乗った出畑はライト級リミットを100g下回る61.1�sでクリア。「相手を見て、気合いが入っているのを感じた。好戦的だが、打ち合うかどうかは向き合ってから決める。まずは余計なパンチをもらわないこと」と冷静に語った。東日本MVPに輝いた勢いから連続MVPへの期待もかかるが、「まったく意識していない」ときっぱり言い切った。

　対する守屋は200gアンダーの60.9�sで計量を終えると、「相手は若くてパワーがありアグレッシブ。多分、打ち合いになる」と打撃戦を予想。「後楽園ホールは聖地で、チャンピオンが試合を見に来るイメージ。自分の名前を売るためにも倒しにいく」と意気込んだ。

　バンタム級5回戦では、菅谷翔太(24=KG大和)と西軍MVPの光富元(23=六島)が対戦。菅谷は200gアンダーの53.3�s、光富はリミットの53.5�sでクリアした。

「恩師との約束を果たす」菅谷翔太

　菅谷は「相手は西軍MVPで不足はない。明日の試合が楽しみ」と表情を引き締め、「やることは決まっている。自分のボクシングを貫くだけ」と覚悟を示した。相模原ヨネクラジム閉鎖に伴い、昨年11月からKG大和ジム所属となったが、「生前、幡野光夫会長と全日本新人王になると約束した。その時が来た」と強い思いを口にした。

「勝ちを最優先して戦う」光富元

　西の大将格・光富は「いよいよこの日が来た」と静かに闘志を燃やし、「相手は巻き込むように打ってくる。気持ちで負けないことが大事」と語った。東京出身ながら大阪の名門・六島ジムで腕を磨き、「1年前にも後楽園ホールに立ったがまたここに戻ってきた。勝つことを最優先して戦う」と決意を明かした。明日は約140人の応援団が背中を押す。

　スーパーバンタム級5回戦では、八谷洋平(36=RK蒲田)と西軍技能賞の市原涼(23=黒潮)が対戦。両者とも100gアンダーの55.2�sで計量を終えた。

「年齢は関係ないことを証明する」八谷洋平

　今年6試合目となる八谷は「こんなにやるとは思わなかった」と苦笑しつつも充実感をにじませる。大手企業に勤めながらリングに上がり続け、全勝全KOの市原を前に、「自分の年齢ではなく、いちボクサーとしてアピールしたい」と語った。

「周りに期待に応えたい」市原涼

　一方、高知から乗り込んだ市原は「相手は独特のリズムで、気持ちが強い選手」と警戒。「お互い、これが最初で最後の全日本新人王決定戦。覚悟を持って戦う」と決意を示した。ここまで7戦全勝(7KO)のパーフェクトレコードを誇り、「効かせたら仕留めにいきたい。期待には応えたい」と静かに闘志を燃やした。

　ミニマム級5回戦では、京屋勇気(28=ワタナベ)と辻永久(19=KWORLD3)が対戦する。京屋は47.6�s、辻は100gアンダーの47.5�sでクリアした。

「オープニングマッチで盛り上げる」京屋勇気

　東決勝を不戦勝で勝ち上がった京屋は「やりたかったので、マイナスとは思っていない。オープニングマッチで倒して盛り上げたい」と先陣役を買って出た。

「勝って兄につなげる」辻永久

　今年4月にデビューし、破竹の4連勝でこの舞台に立った辻は「過去一番の仕上がり。相手はハードパンチャーなので警戒したい」と冷静に分析。「ジムのおかげでここまで来られた。自分が最初に全日本新人王になって歴史を作る」と力強く宣言した。

　兄で日本バンタム級2位の辻永遠(25=MR)が、1週間後の12月27日に愛知で試合を控える。「勝って、兄に勝利のバトンをつなげたい」と語った。

　数々の名勝負を生み、日本ボクシング界の「伝統」を支えてきた全日本新人王決定戦。明日の後楽園ホールで、若き拳士たちが自らの手で新たな「歴史」の1ページを書き加える。