試合日程 | 試合結果 | 動画ニュース | ランキング | 選手検索 |
大橋ジムの将来を背負うフェザー級の大橋蓮(22=大橋)、フライ級の田中将吾(22=大橋)、ウェルター級の田中 空(23=大橋)、バンタム級の坂井優太(19=大橋)の4名が25日、後楽園ホールで開催された「Lemino Boxing フェニックスバトル 117」で、プロデビュー戦に臨んだ。
衝撃のスタートで始まったのは、田中将吾と昨年の東日本新人王の高熊龍之介(25=松本ACE)の対決!
速いジャブを軸にフック、ボディジャブ、アッパーと左からの試合の組み立てを図った田中将吾に対して、ガードを固めて、田中の打ち終わりに左フックをコンパクトに合わせた高熊龍之介が、初回に左ジャブでダウンを奪った。その後も手数の多い田中に対して、身長差を生かしてパンチの交換にも前で応じた高熊が、東日本新人王の意地を見せたが、要所でポイントを稼いだ田中に軍配が挙がった。
初回にダウンを奪われながらも逆転判定勝利でデビュー戦を終えた田中将吾は「高熊選手のプレッシャーでリズムに乗れず、ダウンを奪われ焦ってしまい、どっちが勝ちでもおかしくない試合だった。警戒していたノーモーションの左ジャブを貰ってしまった。ダウン経験は、アマ時代に海外の試合で一回のみ。ボディで体力を削られ、後半に少し疲れを見せてしまった。プロになって倒せるパワーパンチを八重樫(東)さんと練習してきたが、練習してきたことが何も出せずに悔しい。勝てたことはよかった」と、反省と悔しさを滲ませながら、試合を振り返った。
悔しさを隠しきれなかった高熊は試合後、「田中選手はトップ選手だけあって、スピードもコンビネーションも全て上をいっていた。パワーもあって、遠い距離からの左フック、左アッパーとかを、もらってしまったら、やばかったと思うので、それをもらわなかったのは良かった」と振り返った。
この日、リングサイドで、新鋭達の戦いをチェックした大橋秀行会長は、「田中将吾が一番良かった。他は予想通り。田中将吾はハートが強い。他の選手も日本人選手にオファーしたが、全部断られた。受けてくれたのは、高熊君だけ。倒れた時は『やられたー、厳しいマッチメイクだったかな』と思ったが、終わってみれば今日一番だった」と労った。
4人の大型新人のプロデビュー戦を前に、昨年4月にプロデビューし、東日本新人王にも輝いた北野武郎(20=大橋)が、7戦目を迎えた。サウスポーの北野が試合を決めたのは、4ラウンド。北野の鋭い左ストレートが光った。
北野は試合後、「前回の試合を経て、パンチを貰わず当てることを自分の課題にした。相手の動きを見て試合を進めることを意識しすぎたので、もう少しパンチをまとめることを今後は意識していく。最初の左ストレートは、思いっきり入った感触があり、今回は、ほぼ減量がなかったので、パワーがありあまっていた」と試合を振り返った。今後に関しては、「坂田(一颯/20=S&K)選手と今年中に再戦をして、全日本新人王戦での決着をつけ、リベンジしてランキングをもらう」と、気合を入れ直した。
サウスポーの大橋蓮のデビュー戦の相手は、タイ出身のアタッチャイ。スタンスを広く取って、ジャブで距離を詰めた大橋が、左ストレートを上下に散らすと、アタッチャイはガードしながら警戒した。それでも、試合は初回に決まった。大橋の左ストレートで、アタッチャイがバランスを崩すと、大橋が距離を詰めて、左を連打してダウンを奪った。尻もちをつくように倒れたアタッチャイを見て、レフェリーが試合を止めた。
試合後の控え室で大橋蓮は「8オンスで殴り合うという事に憧れがあったので、気持ちよく倒すことができて嬉しい。緊張は全くなかった。練習で松本圭佑先輩とやってガンガン殴られまくったので、それ以上強い選手はいないという自信になった。圭佑先輩とのスパーのおかげで、しっかりと警戒することができて良かった。やっぱり、カチカチに固めたハンドラップの上から8オンス(グローブ)をつけるといつもより拳を感じられた。次は8月4日に試合がある。その試合もしっかり経験として、もちろん、KOでしっかり勝って次に繋げられるように頑張りたい」と、デビュー戦の快勝に目を輝かせた。
田中 空のデビュー戦の相手は、身長で10cm上回る韓国のキム・ドンヨン。速いパンチの交換から始まった初回、左ボディから左アッパーと打って出た田中が、左右の連打から右フックでダウンを奪うと、立ち上がったキムに左フックを叩き込んでダウンを追加、レフェリーが試合を止めた。
控え室に戻った田中は「倒したパンチは狙ったものではなく、振ったら当たって気づいら倒れていた。こんなに早く終わるとは思わなかったが、6ラウンドやりたくないし、なるべく早く終わらせたかったので良かった。緊張もあったが、ワクワクもしていた。アマチュアと全く違ったし、楽しかった。相手のパンチも拳を感じて、改めて怖いと思って効くというのが実感できた」と試合を振り返ると、「ウェルター級では小さいので、(マイク)タイソンのように大きな相手を倒していきたい」と、抱負を語った。
鋭いワンツーとスピードに乗った攻撃の組み立てで、韓国スーパーバンタム級3位のキムを翻弄した坂井が完勝。パンチをまとめたところで、キム陣営がタオルを投げた。
鋭い左ストレートとスピードを披露した坂井優太は、「思っていたより相手が出てこず、倒して勝つことを意識しすぎたしまい、ムキになって力んでしまった。向き合った時に、相手のパンチ力はわかる。強いパンチが入れば下がる相手なのは研究していたので、そこを狙って左フックを強振した。技術でもっと魅せて、軽いパンチで倒すという意識だったが、インパクトを残して勝つことにこだわってしまった。ひとまず今回の反省は持ち帰り、まだ次戦は決まっていないがしっかり励みます」とプロデビュー戦を総括した。
同期のジムメイト達と一緒にデビュー戦を迎えたことに触れ、「ジム内で誰が良いスパー、良い練習をしているかを、みんなが意識していて刺激になる」と、ジムでの練習の様子を語った。
坂井の父、伸克トレーナーは「倒しに行かないでも、試合を進めていく中で、相手が勝手に倒れるというスタイルが理想。4R、5Rなど長いラウンドを経験させる予定だったが力んでしまった。アマでインターハイからユースまで力んでいる所を見たことがなく、本当に自分の子かと思っていたが自分の子でした」と、和かな雰囲気で労った。