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[引退]2022.5.13

元日本王者の西谷和宏が引退を表明

 第61代日本ライト級チャンピオンの西谷和宏(35=VADY)が、4月に自身のSNSで引退を発表していたことがわかった。

 2009年11月にデビューした西谷は、2017年3月に土屋修平(角海老宝石→DANGAN AOKI)に8回TKO勝ちし2度目の挑戦で日本王座に輝くと、この年のチャンピオンカーニバルMVPを獲得した。

 昨年12月に前OPBF東洋太平洋スーパーフェザー級王者の三代大訓(27=ワタナベ)との一戦がラストファイトとなった。電話取材に応じた西谷に引退の真相を聞いた。
昨年12月の三代大訓(ワタナベ)戦
 三代戦が終わった後、「2戦連続でチャンスをもらったのに、結果を出すことができなかった。試合に向けて『これで負けたら仕方がない』というくらい練習した。ここが引き際かなと思った」と、年明けにグローブを吊るす決意したという。
後楽園ホールでタイトル奪取に成功
 28戦のキャリアの中でのベストバウトを聞かれた西谷は、2012年6月に兵庫県三田市で行われた岩下幸右(グリーンツダ)戦を挙げた。連敗している中で迎えた初の日本ランカー挑戦で、「この試合で負けたらボクシングを辞めないといけないかもしれない」と背水の陣で臨んだ中で3回TKO勝ちを飾った。「練習していた通りの動きができた。これで勢いがついたし、分岐点となった試合」。

2度目の挑戦で日本王座を獲得

 タイトル奪取に成功した土屋戦も思い出深い。5回に右カウンターを浴びてダウンを喫したが怯むことなく、追い立てると8回に起死回生のダウンを奪う。最後はありったけのパンチをまとめてキャンバスに沈めた。「試合前は9.5対0.5くらいの下馬評で『絶対に負ける』と言われていたが、練習していたパンチが入った。最後は『ここでいかないと』と連打で仕留めにいった。あそこでストップにならなかったら、次のラウンドで負けていたと思う」と死闘を振り返った。
ジムに感謝した
 独特のタイミングから繰り出されるパンチや、勝負どころで出したスイッチ戦法など頭脳派ボクサーだった。西谷は「元々は、何も考えずに前に突っ込んで手数を出すだけの選手だったが、松岡剛志会長に教えてもらう中で、自分も考えてボクシングができるようになった。スピードのある選手にスピードで対抗しても勝てない。いろいろ考えた中でパンチを当てることを考えた」と、試行錯誤の末に作り上げたスタイルだった。
「後輩に経験を伝えていきたい」
 「自分はこのジムで最後まで世界チャンピオンを目指した。世界にはたどり着かなかったが、さまざまな経験を後輩ボクサーに伝えることでジムに貢献できれば」と所属ジムに感謝して、今後は時間が許す限り、手伝いをしていく予定だ。
おつかれさまでした
 生涯戦績:28戦21勝(12KO)6敗1分

「ボクシングは精神面が大事なスポーツ。練習してきたことに自信を持って試合を迎えてほしい。そして己を過信せず、セコンドの声を信用しろ。そうすれば必ず道は開ける」。西谷は、VADYジムの後輩ボクサーにエールを贈った。

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