クリチコ計量後にハプニング

　王者クリチコが243.6ポンド(約110.5キロ)、挑戦者チゾラが241.2ポンド(約109.4キロ)。上限なしのヘビー級とはいえ無事に計量が終わり、引き続き恒例のフェイスオフ(顔合せ)が行われた。上から見下ろす貫禄十分の40歳の王者。英国国旗を顔の下半分に巻いたチゾラが下から睨み返す。と、次の瞬間、バチンという音が響いた。チゾラが平手でクリチコの左頬を叩いたのだ。
　予想外の“パンチ”に怒り反撃を試みるクリチコだが、すぐに周囲から止められた。張られた左頬は赤くなっていた。
　クリチコ兄弟とチゾラの間には浅からぬ因縁がある。10年12月、チゾラは弟のウラジミール・クリチコに挑戦するはずだったが、試合1週間前になってクリチコが急病を理由に防衛戦をキャンセル。昨年4月にリセットされたものの今度は負傷を理由に再びキャンセルされているのだ。こうしたなかクリチコはWBA王者だったデビッド・ヘイ(英)との統一戦に臨んでいるのだから、約束を反故にされたという思いがチゾラに残ったとしても不思議はない。そんな憎悪が平手に表れたのか、それとも作戦なのか。「クリチコも血を流す人間。俺は全然怖れてなどいないよ。リングに上がれば俺のスピードについて来れないだろう。彼の天下は終わる。決着は8ラウンド、世界は驚くことになるさ」 28歳の挑戦者はリングの上でもこの自信を保つことができるのだろうか。
　戦績はクリチコが45戦43勝(40KO)2敗。チゾラが17戦15勝(9KO)2敗。
　このクリチコ対チゾラのWBC世界ヘビー級タイトルマッチは明日19日(日)、午前6時からWOWOWで生中継される。