試合:ドーピング違反で世界王座獲得が幻に消え、1年間のライセンス停止処分を受けた尾川が420日ぶりにリングへと帰ってきた。昨年4月に続き2度目の来日となるサウスポーのアルデアを迎えた尾川は、勢いよくコーナーを飛び出すと、まずは体を振りながらジャブを散らし距離を測った。さらに踏み込むアルデアの左ストレートを細かいフットワークで外し、右ストレートを連続でヒットさせるなど上々の立ち上がりを見せた。2回も速いジャブで自分の距離をキープしては狙いすました右を上下に打ち込んだ尾川は、アルデアが躊躇するとすかさず踏み込み、返しの左フックまで繋げた。アルデアも決して芯にはもらわず、3回は下に左を伸ばし対抗したが、4回はペースを上げた尾川にボディを削られ勢いを落とした。尾川も単発の左を浴びるなどワンサイドの内容とは言えなかったが、後半に入っても右ストレートで有効打を奪い、時折左フック、右ショートアッパーも決めた。すると7回には鮮やかな右でアルデアの顔を弾き、連打で仕留めに掛かったが、アルデアも寸でのところで踏みとどまり、まだ強打を返す余力があった。8回にはアルデアのタイミングを外した左が尾川を捉えたが、尾川もススっと距離を詰めては右をヒット。互いにバッティングとヒッティングで傷を負いながらも一発を狙い続けた。アルデアの粘りもあり最後までチャンスを活かせなかった尾川だが、最大7ポイント差の判定勝ちで復帰戦を飾った。