立ち上がりは比較的静かだったが、初回終盤になると自然に激しいパンチの交換に入っていった。ともにボディと顔面に左右のパンチを叩きつける。正確さではバルガス、手数ではサリドが勝るという印象だったが、4回に入るとバルガスの左目上から出血が始まり、王者は思わぬハンデを負うことになった。それでもバルガスは6回にチャンスをつかみ、一気にフィニッシュに持ち込もうとラッシュをかけるが、サリドも負けずに打ち返す。終盤になるとバルガスが正面からの打撃戦を回避して効率的に迎撃する場面もみられたが、最終回には再び意地を張り合うような打ち合いを展開。主役ふたりだけでなく場内全体が興奮状態のまま試合終了のゴングが鳴った。採点はひとりが115対113でバルガスを支持したが、残る二者は114対114のイーブンだった。昨年11月、三浦を9回TKOで破って王座を獲得したバルガスは辛うじて初防衛に成功。無敗レコードを25(23勝17KO2分)に伸ばした。前WBO王者のサリドは61戦43勝(30KO)13敗4分1無効試合。