3階級制覇王者 来日記念
独占対談 第2弾
VS 森川ジョージ
ROUND.3
森川 何年か前、僕のジムの選手がウラジミール・シドレンコ(ウクライナ=元世界バンタム級王者。昨年、ドネアと対戦し4回TKO負け)に挑戦する予定があり、僕も徹夜で何回もシドレンコのビデオを観て「あんなボクサーにカウンターを合わせられるものじゃない」と思っていたんだ。でも、ドネアはシドレンコにもフェルナンド・モンティエル(メキシコ)にも左フックを当てたよね。あれは誰に教わったの?それとも自分で考えたの?
ドネア これは子供のころからなんだけど、僕はいつも頭でいろいろと作戦や戦法を考えているんだ。前にも話したけど、僕は試合中に自分の弱点を相手に見せているんだ。弱点を見せているのは、相手にそこを狙わせようとしているからで、僕は相手がどこを狙って攻撃してくるのか分かっているわけ。だからカウンターが打てるんだ。マニー・パッキャオ(比)やホエル・カサマヨル(キューバ/米)など多くの世界チャンピオンとスパーリングしたことによって罠を仕掛けて頭を使う戦い方を覚えたんだ。
森川 でもボクシングは騙し合いでもあるから、ドネアも失敗したことがあるんじゃない?
ドネア 何度かあるよ。モンティエル戦もそうだった。僕は1回からカウンターを狙っていたけど、彼には僕の狙いが分かっていたはずなんだ。お互いに相手の考えを読んで戦っていたからね。だからチェスのような試合だったんだ。僕は2回から作戦を変えないといけないと思ったんだ。そこでモンティエルの有効なパンチが何かを見るために少しリスクを背負って中に入ってみたんだ。そしたら彼は僕が入るたびに左フックを打ってきた。僕がダウンを奪ったシーンを思い出してほしい。僕はモンティエルの右ストレートを浅く浴びているよね。あれは予想していないパンチだったからなんだ。
モンティエルにとっては次の左を打つためのフェイントだったんだね。でも、僕は相手の左に合わせて左フックを打つつもりでいたんだ。もしモンティエルの右がフェイントではなくて倒すための狙ったパンチだったら僕は危なかっただろうね。実際、左フックが来ると思っていたところに右が飛んできたので、僕は<ヤバイ>と思って後ろに避けながら左を出したんだから。モンティエルの右ストレートのフェイントは彼のミスだろうね。あの場面ではサムライの戦いのように左フックを打ち合って、どちらが先に当たるか、それに賭けるべきだったんじゃないかな。でも、彼が右ストレートを打った分、左が遅れたという点を差し引いても僕のスピードが勝ったと思うけどね。97パーセントの確率で僕の左フックの方が先に当たる自信があったよ。
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