3階級制覇王者 来日記念
独占対談 第1弾
VS 原 功(ボクシング・ライター)
ROUND.1

原 8月に東京で会ったときは142ポンド〜145ポンド(約64.4キロ〜約65.7キロ)ぐらいと話していましたよね。25ポンド(約11.3キロ)以上の減量はきつかったでしょうね。
ドネア すごく大変だったよ! 年齢が上がるのに比例して減量が大変になってきているんだ。体がどんどん大きくなってきているからだろうね。でも今回は特に厳しかったなぁ。だから今後は122ポンド(約55.3キロ=スーパーバンタム級)で戦うことにしたんだ。

原 試合に関して聞きますが、あなたの能力を持ってしてもナルバエスのディフェンスを崩すのは難しかったのでしょうか。
ドネア ナルバエスは試合で何がしたかったのだろう……とにかく彼のディフェンスを崩すのは難しかった。試合中、彼に攻めさせようとするなど罠も仕掛けてみたんだけれど、全然食いつかなかったね。それに、攻略を難しくしていた理由のひとつに、ナルバエスがガードを高く上げていたうえに後退していたことも挙げられるね。正面に立っていてくれればガードを崩すことはできるけれど、下がられちゃうとね。さすがに崩すのは難しいよ。

原 ブランクの影響も多少はあったのでしょうか。
ドネア それは感じなかったけれど、減量による脱水症状のほうが影響したんじゃないかな。そんな状況でもリングの上ではパンチの交換をする覚悟ができたいたので、良い経験になったよ。

原 試合から約1ヵ月。現在の体重は?
ドネア 何日前か忘れたけれど、最後に計ったときは135ポンド(約61.2キロ)のライト級だったよ。

原 今回はそれほど増やしていないんですね。
ドネア そうなんだよ! 8月のときみたいに増やさないようにしているんだ(笑)。落とすのが大変だからね。

原 まだトレーニングは再開していないんですね。
ドネア このあとフィリピンに戻って、そのあとで自宅のあるアメリカに帰る予定なので、それからトレーニングを始めることになると思う。早めに始めれば減量もそれほどきつくなくなるしね。

原 WBCバンタム級タイトルを巡って理解に相違があったみたいですね。
ドネア 僕はスーパーバンタム級でのタイトルマッチが決まれば正式に返上するつもりでいたんだ。でも、なんだか話の行き違いがあったみたいだね。僕はスーパーバンタム級のタイトルに照準を合わせているので、そのチャンスが得られればいいんだ。バンタム級のベルトに関しては僕にとっては大きな問題じゃないし、こだわりもないよ。

原 あなたが保持していたWBCバンタム級のタイトルは帝拳ジムの山中慎介選手が引き継ぎました。知っていますか?
ドネア クリスチャン・エスキベル(メキシコ)と試合した選手でしょ? 彼も帝拳の選手なの? 僕が8月に帝拳ジムに行ったとき、彼もいたの? 

原 いや、あのときは西岡選手はいたけれど山中選手はいなかったと思います。
ドネア そうなんだ。彼のことはよく知らないけれど、エスキベル戦は良かったみたいだね。次に日本に来るときはいろんな選手とスパーリングしてみたいな。だからウイニングでグローブとかヘッドギアとか買って帰りたいんだ。

原 具体的にスパーリングしたい相手はいますか。
ドネア 以前は西岡選手とやってみたいと思っていたけれど……いまは無理だろうね(笑)。長谷川選手とはできるのかな? 彼とはずっと戦いと思っていたので、スパーリングでもいいからぜひ手合せしてみたいんだ。

原 長谷川選手は12月17日に神戸で試合があります。
ドネア そうなんだ。じゃあ長谷川選手に会ったら、自分の得意なスタイルに戻して戦う方がいいんじゃないか、って伝えてもらえないかな。彼は頭を使って打たれないボクシングをする選手だし、すごくテクニカルな選手だからね。長谷川選手の場合、KOすることが目的ではなく、まず勝つこと、そして自分のプライド、日本のために戦うことが重要だと僕は思うんだ。僕は彼の昔の試合をときどき見るんだけど、あのスタイルがすごく好きなんだ。あっ、これは彼のことを批判しているわけじゃないので誤解しないでほしい。世界タイトルを何度も防衛した偉大なチャンピオンだし、僕はリスペクトしているんだから。彼はここで終わるような選手じゃないと思っているよ。まだまだこれからなんじゃないかな。あー、日本のチャンピオンたちとスパーリングしてみたいな。

つづく

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