ボクシングモバイルニュース
[海外ニュース]2018.4.4

宙に浮いた再戦 ゴロフキンの相手は?

ゴロフキンvsカネロは消滅か

 ミドル級のWBA(世界ボクシング協会)スーパー王座、WBC(世界ボクシング評議会)王座、IBF(国際ボクシング連盟)王座を持つゲンナディ・ゴロフキン(35=カザフスタン/米)の20度目の防衛戦は5月5日、元世界2階級制覇王者サウル・カネロ・アルバレス(27=メキシコ)を相手に米国ネバダ州ラスベガスのT‐モバイル・アリーナで行われる予定だった。ところがアルバレスのドーピング違反が発覚したため、いまは18日に行われるネバダ州アスレチック・コミッション(NSAC)のアルバレスへの事情聴取と裁定待ちという状況になっている。まだキャンセルという最終結論は出ていないが、現実的にはゴロフキン対アルバレスの挙行は極めて難しい状況といえる。
 こうしたなかゴロフキン陣営は相手を変えて5月5日に試合をする意思を示している。では、誰がゴロフキンと戦うことになるのだろうか。

 アルバレスには1年の出場資格停止処分が科されることが確定的といわれているが、まだ処分が決定したわけではないことから、現時点ではゴロフキンの対戦相手候補としてアルバレスを挙げておかなければならないだろう。そのアルバレスへのペナルティだが、NSACの事情聴取や事実解明への協力をすることで処分が軽減されることが多く、実際には違反が発覚した2月から半年間の資格停止処分になるとみられている。そうなると9月のメキシコ独立記念日にはラスベガスでの試合が可能になるわけで、早くもゴロフキン対アルバレスの再戦はそこにリセットされる可能性が高いとされる。
 問題は、アルバレスが外れ、それでもゴロフキンが5月5日に試合を行う場合だ。すでにゴロフキン陣営はイベントの会場や相手の変更をNSACに届け出る準備を進めていわれる。その場合、2万2000人収容できるT‐モバイル・アリーナでは大きすぎるため、1万6000のキャパを持つ同じ系列のMGMグランドガーデン・アリーナに会場変更するものとみられている。対戦相手としては、5月4日に試合を行う予定のWBA9位、WBC11位、IBF15位、WBO(世界ボクシング機構)5位のゲイリー・オサリバン(アイルランド)が第1候補といえる。オサリバンにはアルバレスと同じゴールデンボーイ・プロモーションズ傘下という優位性もある。
 第2候補はIBFの指名挑戦権を持つ1位のセルゲイ・デレビャンチェンコ(32=露/ウクライナ/米)だ。08年北京五輪に出場し、プロでは12戦全勝(10KO)の快進撃を続けているデレビャンチェンコの陣営は、「アルバレス戦がキャンセルになった場合にはゴロフキンは指名防衛の義務を履行すべき」とIBFに迫っている。
 スーパーウェルター級の元WBO、WBA王者でミドル級に転向後の現在はWBA3位、WBC5位、IBF6位、WBO1位にランクされるデメトリアス・アンドレイド(米)が対戦に名乗りをあげている。しかし、アンドレイドがサウスポーという点がネックになり、可能性という点では前出2選手に大きく離されているといえる。ゴロフキンはサウスポーも苦にしていないが、アルバレス戦に備えて右構えの選手とスパーリングを重ねてきたことから、ここにきて急にサウスポーへの相手変更はないと考えていいだろう。
 また、以前から統一戦を望んでいるという意思表示をしているWBO王者のビリー・ジョー・サンダース(英)は、負傷のため4月に予定していた防衛戦を6月に延期しており、急に5月5日に間に合わせることは不可能といえる。同様に、WBC1位のジャモール・チャーロ(米)もゴロフキン対アルバレスの勝者との対戦を熱望しているが、4月21日にWBC暫定王座の決定戦が決まっており、これを壊してゴロフキン戦というわけにはいかない事情がある。さらに、昨年3月にゴロフキンと対戦して惜敗した元WBA王者のダニエル・ジェイコブス(米)もいるが、こちらも4月28日にWBAの挑戦者決定戦が決まっている。当日のメインカードを中止にして別興行に出場するわけにはいかず、やはり日程的に不可能な状態だ。
 このほか28戦全勝(24KO)の21歳の新鋭ハイメ・ムンギア(メキシコ)、12年ロンドン五輪ライトヘビー級銅メダリストでWBC13位のヤマグチ・ファルカン(ブラジル)、さらにはスーパーミドル級のWBO王者ヒルベルト・ラミレス(メキシコ)、元世界ミドル級王者フリオ・セサール・チャベス・ジュニア(メキシコ)といった面々も対戦に前向きなコメントを発しているが、いずれも体重の問題や知名度不足というマイナス要素を抱えており、現実的ではない。
 こうしてみてくると、ゴロフキンが5月5日に試合を行う場合、オサリバンかデレビャンチェンコに落ち着く可能性が高いといえそうだ。NSACのアルバレスへの聴取と裁定を含め、今後の動きに注目していきたい。