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[試合後会見]2014.7.22

和氣の凱旋防衛戦は?

左を上下に打ち分ける和氣
 21日、OPBF東洋太平洋スーパーバンタム級王者、和氣慎吾(27=古口協栄)の4度目の防衛戦が和氣の地元、岡山県の岡山武道館で行われた。
 ここまで4戦連続KO中の和氣に挑むのは、同級1位でIBFパンパシフィック同級王座と韓国同級王座を保持する李ジェーソン(韓国)。日本選手との対戦も多く、これまで日本ランカーの片桐秋彦(川崎新田)、渡邉卓也(青木)など5選手と戦い4勝(1KO)1分の負けなしだ。ここ3年でも無敗の戦績を誇る強豪だが、はたして世界を見据える和氣の牙城を脅かす存在となりえたのか――。
苦戦しながらも場外にまで弾き飛ばした
 荒っぽさはあったが、3年間無敗、一時はアメリカで力を磨いた李の実力は本物だった。地元開催の重圧で和氣に力みがあったのも確かだが、和氣の渾身の左ストレートを被弾しても怯まず、逆に和氣を追い詰めるシーンも度々あった。久しく劣性に追い込まれた姿を見ることはなかったが、ここで崩れないのが今の和氣だ。8ラウンドの途中採点で差を縮められた和氣は、左ストレートの有効打を取るとここから連打を爆発させ、李をロープ外に押し出す派手なダウンを奪う。会場のボルテージが上がるとともに、続く10ラウンドに勝負を決めに出るラッシュ。さしもの李も腰が引けてしまい、これ以上の続行は危険と判断したレフェリーが試合をストップ。和氣が4度目の防衛に成功し、連続KO記録を5に伸ばした。
次こそは世界と会場にアピール
 苦しみながらもTKOで凱旋防衛を成功させた和氣。試合中に痛めた右拳と右脇腹をアイシングしながら会見に応じた。「強かったし根性もあった。追い上げられているのも分かり、心が折れそうな場面もあったが、みんなの応援が支えてくれた。9ラウンドはここしかないと思い行ったが、立ち上がってきてビックリした」。
バッティングも多くやりずらかった
よもやの苦戦については「すんなりと倒せなかったのは相手の気持ちが強かったから。俺自身、世界に向けて(李のような)しつこさがまだ足りない。反省の多い試合で良い勉強になった」と新たな課題を前向きに捉えた。それでもこの団体での最強挑戦者退けた今、和氣の目に移るのは世界のみ。「こんな内容で言うのは恥ずかしいが、次こそ世界をやりたい」と夢の舞台を熱望した。
左ストレートに耐えた代償は大きい
 一方、敗れた李は2ラウンドの偶然のバッティングで眉間をカットし、医務室で7針縫う治療を受けた。最後のストップについては、「不満はない。最後に無理に打ち合ってしまい、あれ以上続けていても負けていた」と素直に敗戦を受け入れた。和氣の印象には「左ストレートは思ったより効いていた。ただし、世界レベルかと言われると疑問だ」と答え、最後に「3年間このチャンスを待った。当然悔しいが、まだ諦めない」と復活を誓った。