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[こぼれ話]2014.4.7

井上「本に価値出た」

自伝を手に取る井上親子
 痛快なKO劇でWBC世界ライトフライ級の新王者となった井上尚弥(20=大橋)は、プロ6戦目での王座奪取という新記録でかねてより授かっていた“怪物”の評価に応えた。これで、今月初めに発売された自伝にも「しっかり価値が出た」と、父・真吾トレーナーと胸をなでおろした。
井上尚弥・真吾氏の自伝
 井上と真吾トレーナーが「凡人が怪物になるまで」の子育て論を綴った往復書簡『真っすぐに生きる。』は今月1日から扶桑社より発売。ボクシング界では、もちろんその非凡な才能が知れ渡ってきたが、一般的には、まだなじみの浅いニューカマー以上の存在にはなれない感があった。
真吾トレーナー
 自伝については、真吾トレーナー自身も「マニアなら買ってくれるかな」と半信半疑。ところが、6日の勝利はさすがにセンセーショナルだったようで、ツイッターやフェイスブックなどのSNSでも、井上は話題沸騰。これまで、毎日3000前後のアクセス数だった自身のブログも、6日は20倍以上にふくれあがっていた。
井上&八重樫東
 試合会場でも、本の売れ行きは好調だったが、販売スタッフの話では、王座奪取後に飛ぶように売れたという。
「怪物といわれるのはありがたいことですけど、僕や父にとって、これまでの人生は“普通”を一生懸命やって来ただけです。でも、それを見る人が怪物だと思ってくれたら、それでもいいんじゃないですか(笑)」(井上)
一気に注目の的となった
 会場ではアマ時代の仲間やライバルも「井上本」を手に取り「俺たちの知っている尚弥だ」と懐かしむ声が挙がっていた。高校時代、井上のインターハイ2連覇を阻止した野邊優作(拓殖大)も歴史的快挙を生で観た。
野邊優作
「戦ったからこそ、絶対に世界チャンピオンになれる逸材だと確信していました。自分が勝ったのは、もうまぐれにさせてください」
 平凡な息子を、怪物として振る舞わせるためのヒントが、この「井上本」には詰まっていそうだ。