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[インタビュー]2014.3.10

「雑草心」の輝き

上野 則之
 もらったことのないパンチでした。本当に効いた――。2012年4月9日、日本フェザー級王者、天笠尚(28=山上)の初防衛戦に挑んだ上野則之(32=RK蒲田)は試合後、4Rに倒された場面をこう振り返った。
 後に世界王者となった李冽理(横浜光)に敗れて以降、長いリーチから繰り出される長距離砲、腕をコンパクトに畳んでのフック、アッパーに磨きをかけた天笠は、4連勝(3KO)で国内最強の座に就いていた。対し3年ぶり3度目、日本ランク1位まで登りつめ掴んだチャンスでこのダウンを喫した挑戦者は、7Rに最大の武器「左フック」が王者の顎を貫き、天笠に初めて血の混じったキャンバスの臭いを嗅がせた。誰もが劇的なドラマを予感した瞬間だった。