[試合後会見]2014.2.10
新旧対決、空位の王座は
新旧対決の行方は
前王者の金子大樹(横浜光)が世界挑戦のために返上した日本スーパーフェザー級王座を懸け、最強後楽園を勝ち抜いた日本同級1位の内藤律樹(22=E&Jカシアス)と、3度目の正直を狙う日本同級2位、松崎博保(31=協栄)が10日の後楽園ホールで対戦した。チャンピオンカーニバル屈指の注目対決。はたして王座を掴んだのは、新旧どちらの選手か――。
松崎陣営は棄権
ジャブの刺し合いでスタートした試合は、距離、スピードともにサウスポーの内藤が上回る。位置を変えては多彩な右を細かく刻み、左ストレートの繋がりもまずまずと、4Rまでの松崎にはほとんど手を触れさせなかった。5Rに大振りで仕掛けた松崎に応じて雑になりかけたが、それもすぐに修正。今年のチャンピオンカーニバルから試験的に導入されているオープンスコアリングシステムで、5Rまで採点を50-46、50-45、50-45の3-0で折り返す。後半に入り松崎も右を単発ながらヒットさせるが、出入りが直線的で、多くのパンチは横に横にと動く内藤に届かず。終始ペースを握り一方的に攻め続けた内藤だが、8Rには決めきれない苛立ちからか、松崎の左ガードを右フックで強引に払う場面もあった。それでもポイント差は歴然で、ここまでのダメージを懸念した松崎陣営が9R前のインターバルで棄権を申し出た。
親父を越えたい
この結果、8R終了時TKO、勝者内藤が告げられ、プロ9戦目、無敗(5KO)のまま日本スーパーフェザー級新チャンピオンに輝いた。父でありジムの会長でもある元日本&東洋ミドル級王者、カシアス内藤氏にまずは日本チャンピオンとして並んだ内藤律樹は、リング上で「詰めの課題はあるがホッとしている」と第一声。親子2代のチャンピオンについては「親父は東洋も獲っているので、日本王座ではまだまだ。世界を獲って越えたい」と父越えを宣言した。父・カシアス氏も「チャンピオンを作るという夢が叶った。それが息子で嬉しい」と、来年で設立10年目を迎えるジム初のベルトに喜んだ。
松崎は現役続行宣言
一方、3度目のタイトル挑戦に失敗した松崎は、これで31戦22勝(11KO)7敗2分。試合を振り返り「内藤選手は強かった。でも言い訳になるが最悪のコンディションだった。相手に合わせてしまい自分の試合が全然できなかった」と肩を落とした。今後については「階級を落とすかもしれないが、このまま終わるつもりはない」と再起を誓った。
父と沢木耕太郎さんにはさまれて
祝福を受けながら控え室に戻った内藤は、試合の出来は40点と低い自己評価。「効かせるところまでは良かったが、決めなければならない時に熱くなってしまった。それがマイナス40点。あとの20点は相手にパンチを合わせられなかった点」。既に気持ちを切り換えた内藤は「この試合で課題が残ったのは良かった。課題がなければ成長できませんから。本当のチャンピオンになるのは、次の初防衛戦に勝った時です」と次戦を見据えていた。初防衛戦は指名試合となり、順当に行けば3位の東上剛司(ドリーム)の挑戦を受ける(東上は28日に試合)。
これがスタート地点
世界の大舞台に向け、最初の関門を突破した内藤律樹。親子鷹で見る夢は一歩ずつ近づいている。