[試合後会見]2014.2.1
空位の日本LF級は!?
玄人好みの王座決定戦
前王者の井上尚弥(大橋)が返上した日本ライトフライ級王座を懸け、1日に後楽園ホールで日本1位の木村悠(30=帝拳)と2位の堀川謙一(33=SFマキ)との間で決定戦が争われた。木村はプロ8年目にして初のタイトル挑戦。対し、プロ14年の堀川は日本王座に2度、東洋太平洋王座、WBCインターナショナルなどこれまで5度挑戦するも獲得経験はなし。昨年の最強後楽園で挑戦権を手にした日本王座戦は09年6月、当時の日本ミニマム級王者、八重樫東(大橋)戦以来、約5年ぶりの挑戦となった。
派手さはないが卓越したテクニックを持つ木村と経験値では木村を大きく上回る激闘型の堀川と、玄人好みの一戦。はたして初戴冠したのは――。
派手さはないが卓越したテクニックを持つ木村と経験値では木村を大きく上回る激闘型の堀川と、玄人好みの一戦。はたして初戴冠したのは――。
日本王座
日本王座戦は、今年からオープンスコアリングシステムが試験的に導入され、5Rに途中採点が読み上げられた。前半は、詰める堀川の動きを読んだ木村が距離を支配し、ジャブ、左ボディ、右ストレートをヒットさせ主導権を握るが、4~5Rから圧力を強めた堀川に左ボディ、右アッパーの反撃を許してしまう。途中採点は3-0で木村のリードとなったが、二者が48-47、一者が49-46と開きは大きくない。
堀川は後半追い上げる
6Rからは木村もあえて足を止めて打ち合うが、近い距離はやはり馬力のある堀川の土俵。このまま終盤に入り、我慢比べの圧し合いが続くも、9Rに一歩引いた堀川にワンツーがクリーンヒットするなど木村も力を発揮。10Rは、序盤とは逆に堀川が距離を取り木村が圧す形となり、最後まで手数を競いあった。終了のゴングが鳴り、勝利を確信した両者は高らかに拳を上げたが、最後まで上がったのは木村だった。スコアは一者が97-94で堀川を指示するも二者は96-95で木村を指示し、新チャンピオンが誕生した。
堀川の胸中は
またしても後一歩、判定で王座に手が届かなかった堀川。控え室に戻ると「前半は強引に行き過ぎてしまった。それでも後半は巻き返したはず。判定には納得できない」と不服を漏らし、今後については「まあ、しばらくは休みます」と言葉少なく会見を終えた。
戦いの勲章を肩に
一方、日本王座一発獲りをはたした木村。会見ではまず「前半は相手の動きが読めていただけに、5Rの採点はもっと開きがあると思った。最後は気迫と根性だった」と試合を振り返り、勝ちとったベルトを誇らしげに肩へ巻いた。
さらなる飛躍を
プロ8年目、同門でアマチュア出身の後輩、粟生隆寛、五十嵐俊幸の世界戴冠を見てきた木村は「焦りはあったが、逆に粟生たちに刺激も受けてきた。遠回りしたとは思っていない。この道があったからこそ今の打ち合っても負けないスタイルがある。2度の敗戦で辞めようと思った時もあるが、振り返れば糧になった。良い経験をしたと思う」と、これが木村スタイルと言わんばかりの笑顔を見せた。最後に「諦めなければ必ず世界へ行ける。技術、精神面の課題はあるが手応えは掴んでいる。決して遠くはない」と世界へ思いを馳せた。