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[試合後会見]2014.1.12

ベテランか、ホープか…

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 日本&OPBF東洋太平洋ライト級2冠王者、加藤善孝(29=角海老宝石)のOPBF王座V2戦が、挑戦者にOPBF同級9位の中谷正義(24=井岡)を迎え11日、後楽園ホールで行われた。年明け最初のタイトルマッチ、さらに日本王座を5度防衛中のベテランと関西ホープの新旧対決にファンの注目度も高く、満員に近い観衆を集めた。
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 身長で王者より9cm高く、体格とスピードで上回る挑戦者は、1Rから早くも自分の距離をキープすると、高速のジャブからフェイントを織り交ぜた右ストレートで王者を寄せつけず、3Rにはボディ、アッパーのコンビネーションで加藤の腰を落とす。受身の加藤は右から飛び込むも、体が流れてしまい有効打を奪えず、4R終了時の採点は2-0で中谷がリードする。
 中盤に入り、先手で仕掛け始めた加藤も7Rに右を連続でヒットさせ、返しの左ボディから右をクリーンヒット。これで中谷の膝を折る好機を作り、以降も中谷の踏み込みに相打ち覚悟で右を合わせるが、中谷も予想以上のタフさで反撃を許さない。8Rの採点もポイントは縮まらず、逆に3-0と中谷への支持が広がる。
 不安視されていた中谷のスタミナだが落ちる気配はなく、終盤も足を使い加藤の追撃を許さず、ラスト12Rは挑戦者らしく打ち合う強さも見せた。ジャッジ1者こそドローとなったが、2者は4ポイント差で挑戦者を支持し、中谷がデビュー7戦目でOPBF王座を奪取した。
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 破れた加藤は試合後、「効いたパンチはそんなになかった。ダメージは少ないが、予想以上に距離が遠く、上手くやられてしまった感じ」と、淡々と試合を振り返ったが、WBA・WBCとも10位まで登りつめた世界ランクを失うことにはショックを受けた。判定結果については「向こうの見栄えが良かった」と納得したが、「もう一度戦えれば勝てそう」とリマッチを希望。OPBF王座を失ったことで日本王座は保持したままとなるが、チャンピオンカーニバルまでの期限次第では返上もあり得るとした。
傷だらけの笑顔
 一方、激闘の痕が加藤よりも濃く残った中谷に顔には、偶然のバッティングで負傷した左目上に応急処置がされていた。試合を振り返り中谷は「気負いはなかった。自分の距離でボクシングができれば勝つ自信はあったが、加藤選手は気持ちが強く、12Rは思ったよりもしんどかった。ディフェンスの甘さと決定力不足もあった」と反省したが、まずは王座獲得に安堵の表情を見せた。
リングサイドから応援する井岡一翔
 また、大阪・興國高校ボクシング部の同級生で、先に世界王者となった同門の井岡一翔と宮崎亮の応援に力をもらったと感謝した中谷は、「負けたくないと思っていた2人にようやく並べる」とライバル心を見せながら、行く行くは3人でトリプル世界戦をやりたいとも希望。最短距離で世界を狙う選手が、井岡ジムにまた一人生まれた。
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 なお、今回の契約ではオプションがひとつ条件とされ、加藤と再戦の可能性もあると明かされた。