[WSB]2013.8.31
ボクシング界でキューバ革命
半世紀ぶりのプロ戦は白星スタートか?
メキシコシティでは、30日、現地時間の午後1時30分から、WSB(ワールド・シリーズ・オブ・ボクシング)のメキシコ・ゲレーロズ対キューバン・ドマドレズ戦が「プレシーズンマッチ」として始まり、五輪ボクシング界最強の呼び声高いキューバが、51年ぶりにプロボクシング戦を解禁した。
迎え撃ったのはメキシコ
1962年、フィデル・カストロ氏に遮断されたキューバのプロボクシング史が、異色の新型イベント、WSBを舞台に再開される。この一戦は、世界31カ国でテレビ中継されたことに加え、日本を含めたその他の国でも、YouTubeによるストリーミング中継が行われた。
公開計量は革命記念塔の前で行われた
試合は各級5ラウンド制。インターバル中に直前ラウンドの採点が発表されるのが特徴的だ。
まずはライトフライ級で、元・世界ユース選手権王者、ヨスバニー・ベイタ(キューバ=ドマドレズ)が、ホセリート・ベラスケス(メキシコ=ゲレーロズ)を相手に、三者50対45のフルマークで先勝した。半世紀ぶりの大一番を白星で飾ったヨスバニーは、井上尚弥(大橋)にも2戦2勝を収めたリオ五輪のメダリスト候補だ。
まずはライトフライ級で、元・世界ユース選手権王者、ヨスバニー・ベイタ(キューバ=ドマドレズ)が、ホセリート・ベラスケス(メキシコ=ゲレーロズ)を相手に、三者50対45のフルマークで先勝した。半世紀ぶりの大一番を白星で飾ったヨスバニーは、井上尚弥(大橋)にも2戦2勝を収めたリオ五輪のメダリスト候補だ。
ライトフライ級出場者の記念撮影
フライ級で登場した19歳のヘラルド・セルバンテス(キューバ=ドマドレズ)は、初回から攻めの最中にバッティングが多く、3回にエリアス・エミグディオ(メキシコ=ゲレーロズ)の左目尻をカットさせてしまう。会場がメヒコ・コールで盛りあがるなか、WSBで13勝3敗の好成績を残しているエミグディオの負傷TKO勝ちとなった。内容的にもエミグディオが優勢だったが、セルバンテスは、ヘッドガードなしの試合への適応力に欠いたという言い方もできる。
バンタム級では2011年世界選手権・金メダルのラサロ・アルバレス(キューバ=ドマドレズ)がブライアン・ゴンザレス(メキシコ=ゲレーロズ)にフルマークで勝利。ただ、この試合ではアルバレスがスリップダウンを喫したことなどから、客席のメキシコ人たちは、勝者に痛烈なブーイングを浴びせていた。
バンタム級では2011年世界選手権・金メダルのラサロ・アルバレス(キューバ=ドマドレズ)がブライアン・ゴンザレス(メキシコ=ゲレーロズ)にフルマークで勝利。ただ、この試合ではアルバレスがスリップダウンを喫したことなどから、客席のメキシコ人たちは、勝者に痛烈なブーイングを浴びせていた。
トレドの左が何度もWSB王者のロメロを襲う
ライトウェルター級では、ロンドン五輪・銅メダルのヤスニエル・トレド(キューバ=ドマドレズ)がWSBの個人戦王者、ファン・ロメロ(メキシコ=ゲレーロズ)から、2回に、左ストレートで鮮やかなダウンも奪ってポイント勝ち。ロメロもプライドを見せ、初回と最終回を取っていた。
ここまでの試合で、両チームの充実度は歴然。だがミドル級で、コンラッド・カミングズ(アイルランド=ゲレーロズ)が北京五輪の銀メダリスト、カルロス・バンテウア(キューバ=ドマドレズ)をパワーで圧倒した。外国人の助っ人選手ではありながら、アイルランド選手権の3年連続3位のカミングズがバンテウアに完勝したことは、キューバの新興チームが、決して無敵ではないことを証明したのではないだろうか。
30日の全試合終了の時点で、3対2でキューバがリード。後半戦は現地時間の31日の同時間に行われる。
ここまでの試合で、両チームの充実度は歴然。だがミドル級で、コンラッド・カミングズ(アイルランド=ゲレーロズ)が北京五輪の銀メダリスト、カルロス・バンテウア(キューバ=ドマドレズ)をパワーで圧倒した。外国人の助っ人選手ではありながら、アイルランド選手権の3年連続3位のカミングズがバンテウアに完勝したことは、キューバの新興チームが、決して無敵ではないことを証明したのではないだろうか。
30日の全試合終了の時点で、3対2でキューバがリード。後半戦は現地時間の31日の同時間に行われる。
メキシコ勢を激励した際のS・ラモス氏
また、バンタム級戦とライトウェルター級戦の間には、客席最前列にいた元WBA、元WBC世界フェザー級王者のシュガー・ラモス氏が紹介された。キューバで家庭を持っていたラモス氏は、キューバ革命でメキシコへ亡命。その後のプロキャリアを主にメキシコで積むようになったが、対戦相手が2度も、その豪腕ラッシュで命を落としたため、危険なパンチャーとして恐れられた。この日は、オシャレな帽子をかぶったまま立ち上がった伝説の71歳に、会場から大きな拍手が送られていた。日本では、64年に関光徳(新和)と両国国技館で対戦し、6回TKO勝ちを収めている。