初防衛か初戴冠か

　試合は小原の完勝だった。開始早々、小原は左フックをきっかけに左右をフォロー、挑戦者をふらつかせ主導権を握る。接近したい竹中だが、小原が足をつかいながら左ジャブを突くため、思ったような展開に持ち込めない。2R、小原の左フックで竹中は前のめりに体を折り、さらに連打にさらされてダウン寸前の窮地に陥ったが、なんとか踏ん張った。小原は3R、顔面の腫れも目立つ手負いの挑戦者を攻め続け、右ストレートでダウンを奪う。竹中は立ち上がったが、レフェリーはカウントを10まで数え上げた。初防衛に成功した小原は10戦9勝(8KO)1敗。敗れた竹中は27戦18勝(8KO)7敗2分。

　試合後、小原は綺麗な顔のまま余裕の表情で会見に臨んだ。「いろんな意味で緊張感はありましたが、落ち着いて試合ができました。予想では相手が出てくると思っていたので、出てくる相手への対策をしていたが、実際は出てこなかった。距離がとれれば左も使えると思っていたので早い回で終われると思ったが、セコンドからも出過ぎないようにと言われていたので、抑えていきました」と、一気に話した。さらに「本当なら1Rでもいけたかもしれないが、リスク回避をしていく予定だったので、あえて抑えました。ここまでプロ10戦していい距離感が掴めてきていると思う。今回は東洋太平洋にもランクインしたので、トランクスも新調しました。母校の東洋大学をイメージしたものにしました」と、笑顔をみせた。今後の目標については「チャンピオンに固執しているわけではないので、条件が合う相手がいれば誰とでもやります。とにかく今日は村田さんの前座ということで、一緒に祝勝会をしようと言っていたのでいい結果が出せてよかったです」と話した。

　敗れた竹中は左まぶたが切れ、右頬も腫れあがっていた。憔悴し切った様子で力なく、「完敗です」とポツリ。「コンディションは問題なかったが、とにかく相手は距離感が抜群で、連打を出すことができなかった。パンチもあり、特に1Rでもらった左アッパー、左フックが効きました」そう言ったまま、その後は言葉が出てこなかった。