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[試合特報]2013.7.28

荒川仁人世界初挑戦

 本場米国テキサス州サンアントニオの地で世界初挑戦を迎えた荒川仁人(八王子中屋)。オマール・フィゲロア(米)と競い合ったWBC暫定世界ライト級王座決定戦の結果が届いた。フィゲロアはオスカー・デラホーヤが代表を務めるアメリカの大手プロモーション・ゴールデンボーイが売出し中のホープとあって、米国でも注目を集めている。
 この試合は29日夜9時よりWOWOWエキサイトマッチで放送されます。

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※動画は練習動画
〇オマール・フィゲロア(米)
 12R判定(3対0)
●荒川仁人(八王子中屋)

 サウスポーの荒川に対しフィゲロアは右構えでスタート。すぐに左構えにスイッチし、左フックや左右のボディブローで先手をとる。右フックを浴びた荒川は早くも足を硬直させ窮地に陥るが、なんとか踏ん張る。その後もフィゲロアの猛攻は続き、荒川は左右フック、アッパーを浴びながらも耐えた。2R、荒川は一転して相手をロープに追い込んで攻勢に転じたが、右を頭部に浴びて平衡感覚をなくし、そこに左右をフォローされてダウン。序盤で大きなハンディを負ってしまった。
 その後も打ちつ打たれつの打撃戦が続き、徐々に乱打戦の様相を呈するようになった。フィゲロアは鼻梁をカットしたが、戦況に影響を及ぼすほどではなかった。5Rにも荒川は窮地に陥ったが、その後は相手をロープに追い込んで打ち返すなど、見せ場もつくった。 迎えた6R、フィゲロアの右から左右の連打を浴びた荒川はダメージを受けロープにもたれかかり、立ったままカウントを数えられた。 「中盤から終盤に流れをつかめると思う」と話していた荒川だが、前半で大きなダメージと失点を重ねていたこともあり、その後もペースが上がらない。8Rには右目上が腫れたうえ左右上下の連打を浴びストップ寸前とも思えるピンチを迎えた。それでも踏ん張り、驚異的な粘りとタイトルにかける執念をみせる。
 終盤も乱打戦は続き、11Rには荒川がフィゲロアをロープに押し込んでワンツーをヒット。勝負を諦めない強気の姿勢をみせたが、逆転することはできなかった。採点は二者が118対108、もうひとりは119対107と大差がついていた。
 リング上で気丈にインタビューを受けた荒川は、「フィゲロアの方が強かった。そのひとことに尽きる」と事実上の完敗宣言。「苦境が続くなか、なぜ立ち続けていられたのか」と問われると「多くの人の協力を得てつかんだチャンス。日本から駆けつけてくれたり、日本で応援してくれたりする人がたくさんいるので、自分が(途中で戦いを)やめるわけにはいかなかった」と答えた。そして、最後に「サンキュー・ベリーマッチ。テキサス、サンアントニオ」と叫んだ。 これを聞いた観客は大きな拍手と声援で敗者を称えた。
 新たに暫定王座についたフィゲロアは鼻梁と鼻、口の地を止血しながらインタビューに応じた。「タフな相手だった。1Rが終わったときには12Rまで戦うことになるとは思いもしなかった。初めて顔面のカットも経験し、この試合で多くのことを経験できた。こんな タフな選手と戦うことができて光栄に思う」と、息を弾ませた。
 戦績は荒川が28戦24勝(16KO)3敗1分。フィゲロアが23戦22勝(17KO)1分。