佐藤が危険な勝負に!!

　会見の冒頭、協栄ジム・金平会長が「3度目の防衛戦が決定しました。挑戦者はWBC世界同級8位シーサケット・ソー・ルンビサイです。今回はタイのシーサケット県で戦うことになります!!」と挑戦者の地元でタイトルマッチが開催されることを発表すると、敵地に乗り込む佐藤は「初めて海外で戦う。これまで日本人がタイで世界タイトルを戦い、誰も勝てていない。僕が史上初に挑めるのは楽しみですが、リラックスしてタイに行きます」と沸々と闘志を燃やす。
　そして佐藤は「私事ですが、5月9日が予定日で3人目が誕生します。タイで勝ってベルトを守り、日本に帰ってきたら子供が産まれていたら良いですね!!」と笑顔を見せた。

　報道陣から挑戦者シーサケットの印象を尋ねられ佐藤は「試合のビデオは観ていないが、大晦日に偵察へ来ていて会っている。背が小さくて弱そうな印象だったが、そういったタイプが強かったりして(笑)。パンチがあるし、赤穂選手に似ているのかな」と17勝中16KOを誇る強打に警戒心を募らせ、タイで戦うことについては「地元判定や計量の時が怖いですね。秤に細工されたりして(笑)。それと、いきなり"試合だ。リングに上がれ!!"と言われても対応できるようにしているので、それほど問題はないかな」と余裕の笑みを浮かべた。

　改めてタイ開催となったことに金平会長は「世界チャンピオンは同じウエイトであれば、どこで誰と戦っても勝つのが"真の姿"だと思っている。できるならば日本で防衛戦を実現させたかったが、タイ陣営にオプションがあったので…。でも佐藤洋太は強いですから(笑)。タイで勝利し、日本ボクシング界の歴史に名前を刻むことになるでしょう!!」と大いなる期待を寄せた。

　会見終了後、同門・前川龍斗と3ラウンドの公開スパーとなったが、佐藤は「龍斗もプロになり、どれだけ成長したか"ガチ"でやってあげよう(笑)。いまのうちに"俺には勝てないぞ"って楔を打ち込みます!!」と後輩にメッセージを送った。
　開始早々、佐藤は強烈なプレッシャーからジャブで前川の顔面を弾き、左ボディ・右ストレートを浴びせる。しかし前川も下がらず、ガードを固め距離を潰しワンツー・左ボディ・左フックを世界王者に打ち込み、強気な一面を見せる。最後まで両者は一歩も引かず、ワンツー・左ボディ・右アッパーを打ち合う激しい打撃戦を展開した。
　スパー終了後、佐藤は「ガチでいってやられたかな(笑)。3ヶ月スパーをしていなかったが確実に伸びている。龍斗の新人王は確実でしょう!!」と前川の成長に目を細めた。

　最後に佐藤は「3度目の防衛戦は敵地で戦いますが、自分のスタイルを崩すことなく戦います。そして岩手県人の、日本人の強さと恐ろしさをタイ人の心に刻み込んでやります!!」とファンにメッセージを送り締め括った。
　これまで日本人がタイのリングで世界戦に臨み、17戦16敗1分と未だ勝利は掴めていない。5月3日、WBC世界スーパーフライ級王者として、佐藤洋太は誰も成し得なかった快挙を達成し、"緑のベルト"を肩に凱旋帰国を果たすことができるのか…。