まだ、ボクシングは終わってませんよ!

　今年最後のボクシング興行は、大晦日に東京・大田区総合体育館で開催される「Life Time Boxing Fights 30」。メインイベントは、バンタム級に転級した井岡一翔(36=志成)が臨むWBA世界バンタム級挑戦者決定戦だ。同級11位のマイケル・オールドスゴイティ(24=ベネズエラ)とのランカー対決に勝利すれば、世界挑戦への道は大きく開ける。

　元4階級制覇王者の井岡は現在WBA9位だが、全4団体のランキングに名を連ねている。最上位はWBC4位、次いでWBO6位、最も低い評価でもIBF12位と、順当にいけば来年中にも世界戦のチャンスが巡ってきそうだ。

　筆者が31日に最も注目しているのは、フィジカルトレーニングを積んだ井岡の動きである。これまで井岡は、ボクシングに必要最小限の筋力で戦ってきた。しかし、キャリアの原点であるミニマム級から数えて5階級目となる今回の挑戦に向け、ついに本格的な筋力アップに着手。アップした筋力を活かして、最大限の出力、すなわちパンチ力向上のための力の伝達を学んできた。

　卓越した技術、類いまれなセンス、絶妙なタイミング、そして“仙人”の体に染みついた勝利の方程式に、パワーが加わる。その変化を、大晦日のリングで確かめたい。