ボクシングモバイルニュース
[JPBA]2025.8.20

ボクシング界、安全対策を強化へ 脱水検査やMRI導入を検討

健康管理対策を徹底

 東日本協会の理事をはじめ、リモートで参加した各地域の理事を含め20名以上が20日、臨時の話し合いを行い、安全強化策を次々と打ち出し、選手の安全を守るための新たな対策を検討した。近年、減量による脱水状態の選手や危険な試合の増加が懸念されており、実効性のある取り組みが求められている。

脱水検査と体組織測定を導入

 同協会は、計量時・試合前・試合後に「ハイドレーション検査(脱水検査)」を実施し、選手の健康状態を把握する方針を示した。新人王トーナメントからデータを収集し、将来的な制度化を目指す。体組織の計測も併せて行い、科学的根拠に基づく選手管理を進める。

CTとMRIの検査を実施し、脳ダメージ対策を強化

 プロテスト時にCT検査を実施してきたが、今後は試合後に勝敗やKO、判定決着に関わらず、ダメージが疑われる選手にはMRIやCT検査を実施する方針を固めた。セレス小林会長は「日本タイトル戦以上の試合は、試合前にCTまたはMRI検査を義務化するべきだと思う」との考えを示した。

救急搬送体制の見直し

 全試合に救急車を配置する案も協議された。ただし、地域によっては受け入れ医療機関や搬送時間の事情が異なり、実現可能性は今後の検証課題となる。JBCとも協力し、試合会場から医療機関への搬送にかかる時間や救急車の到着までの時間を調査し、最適な体制を徹底する。民間救急車の活用についても話し合われたが、緊急車両としての役割を果たすには赤信号で停止することが義務付けられていることなどから「足枷になりかねない」として慎重な姿勢を示した。

試合間隔とスパーリング管理

 KO負けした選手は90日間の試合間隔を空けることがJBC(日本ボクシングコミッション)の規約で定められているが、これまでCT検査で健康が確認された場合は、試合後60日での復帰を内規によって許可してきた。この内規を廃止することを決定した。あわせて、協会員やトレーナーなど指導者への医事講習会を強化し、ジム内でのスパーリング量と内容を徹底管理する。これにより、指導者が試合を止める判断にばらつきがある現状の改善を目指す。

レフェリーと協会員の役割

 試合では、ダウン後に必ず選手を歩かせるチェックをレフェリーに徹底してもらうことをJBCに申し出る。試合時には、協会員も当番制で最後まで会場に残り、選手が帰宅するまで見届ける体制を敷く。