井上尚弥を数字で分析! KO率89%
いよいよ、来週火曜日に迫った井上尚弥(31=大橋)の世界スーパーバンタム級4団体王座防衛戦。挑戦者で日本人キラーの”The Power!”TJ・ドヘニー(37=アイルランド)も来日し、公開練習でも好調ぶりをアピールした。
シリーズ「井上尚弥を数字で分析」で紹介している絶対王者の凄さも、今回が最終回。知れば知るほど、やはりモンスターだった。
■約89%のKO率
2012年10月のプロデビュー戦から今年5月のルイス・ネリ戦まで、井上は27戦して全勝(24KO)のレコードを残している。全試合数に対するKO勝ちが占める割合、つまりKO率は88.89パーセントとなる。
現時点では、100人の日本の歴代世界王者(男子)のなかで、KOのイメージが強い藤猛≒76%、輪島功一≒66%、具志堅用高≒63%、浜田剛史≒79%、平仲信明≒82%、竹原慎二≒72%、内山高志≒74%、山中慎介≒61%、村田諒太≒68%、現役の比嘉大吾≒79%、そして中谷潤人=75%などそうそうたるメンバーを抑えて、井上は最も高いKO率を残している。
■4度の海外世界戦
この1、2年、海外のマニアやファン、関係者から「アメリカやイギリスなどで試合をしてほしい」という要望が多いようだが、彼らは過去に井上が日本国外で4度の世界戦に臨んでいることを忘れてしまっているのでは? それとも、もっともっと頻繁に身近で試合を見てみたいということなのか?
プロになってから井上が初めて日本を離れて戦ったのは、スーパーフライ級王者時代の2017年9月9日のこと。アメリカのカリフォルニア州カーソンで、アントニ・ニエベス(アメリカ)と対戦し、一方的な内容で6回終了TKO勝ちを収めている。2度目の海外試合は、2019年5月18日。イギリスのグラスゴーで、IBF世界バンタム級王者のエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)と対戦。緊張感溢れる初回のあと、WBA王者の井上は2回に左フックでダウンを奪い、さらに2度倒してKO勝ちを収めた。さらにコロナ禍中の2020年10月31日、アメリカのネバダ州ラスベガスで、ジェイソン・マロニー(オーストラリア)と拳を交え、7回KO勝ちを収めている。その8ヵ月後の2021年6月19日、再びラスベガスのリングに上がり、IBFのバンタム級指名挑戦者マイケル・ダスマリナス(フィリピン)に何もさせず、3回KOで一蹴している。
以後、9月3日のドヘニー戦まで、7試合続けて国内開催となっていることもあり、そろそろ日本を出て戦ってほしいという要望も理解できる?
■世界戦で奪ったダウンは43度
井上は、世界戦だけで22戦全勝(20KO)という驚異的な数字を残している。KOを逃したのは、スーパーフライ級時代のダビド・カルモナ(メキシコ)とのV2戦と、バンタム級のノニト・ドネア(フィリピン)戦の2度だけだ。しかも、カルモナ戦では最終12回にダウンを奪い、ドネア戦でも11回に左ボディブローでダウンを奪っている。この2試合ともKOに匹敵するダメージを与えており、レフェリーの判断によってはKO勝ちになっていてもおかしくなかった。