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[試合後談話]2024.7.7

井岡一翔とFマルティネス! 試合の分かれ目は初回!

井岡一翔vsマルティネス

 スーパーフライ級のWBA(世界ボクシング協会)チャンピオンの井岡一翔(35=志成)とIBF(国際ボクシング連盟)チャンピオンのフェルナンド・マルティネス(32=アルゼンチン)が7日、都内の両国国技館で開催された「Life Time Boxing Fights 22」のメインイベントにて、世界王座統一戦に臨んだ。

ジャッジペーパー

 試合が始まると、回転力を生かした左右のフックとアッパーを軸に組み立てるマルティネスに対して、井岡は下がらず右アッパーボディと左ボディで削って、後半戦に備えた。マルティネスの序盤の動きは止めた井岡だが、試合巧者ぶりを見せたマルティネスは、アウトボクシングに切り替えて、カウンターを狙う展開を作り、スタミナの回復にも余念がなかった。最後まで近距離で打ち合った両者だが、判定でマルティネスが王座を統一した。

マイダナ氏

 プロモーターで、マルティネスのマネージャーを務めるマルコス・マイダナ氏は、今後に関して、「タナカとも対戦させたいし、井岡が再戦を望むなら検討する」と、WBO王者の田中恒成(畑中)との統一戦や、井岡との再戦に前向きな発言をした。

毎ラウンド倒しにいった井岡一翔

 試合後の会見で井岡は、「全ラウンドを通して、倒すつもりで戦っていたので、判定は考えておらず、勝敗の結果まではわかっていなかった。相手をリングの中央に置いて相手の土俵で上回って勝つプランで、チームの認識としては削れていると思っていた。1ラウンド目の左ボディを効かせて耐えられたのが、試合の分かれ目だった」と、初回の攻防を真っ先に振り返った。

 フェルナンドに関しては、「パワーがありガードも固く、身体も厚くデカいサンドバッグを叩いている感覚だった。全ラウンド倒すつもりで戦って出し切った。負けは負け、判定は認めている。自分がどう戦い抜いたかが重要だが、応援してくれている人達に、結果を出して恩返しをしたかったし、自分たちチームはやれることはやった。全てこの日に懸けてきた、徐々に(今回の負けという結果を)受け入れていき、今後どう戦っていくか考えないといけないが、タイトルをなくし全部白紙になり、今は再戦も含めて今後のことは考えられない。色々な気持ちがあり、受け止め切れないが、自分が必死に生きやってきたことは、受け止めて今日はゆっくりしたい。自分は日本人として12ラウンド通して退がらず戦う姿勢、真っ当に戦ってきた生きた方を見せたかった。前回よりも増えた応援してくれるたくさんの子供達に、その姿を見せたかった」と、結果は受け止めながらも悔しさを滲ませて語った。

マルティネス王座統一!

 勝利のマーチを聞きながら、会見の席に着いたマルチネスは、「期待通りの試合になった。私は戦争のような試合がしたいと思った。それは観客を満足させたいという思いだった。プーマはプーマらしい試合をした。井岡はグレイトなチャンピオンで、本当にところどころに経験が見えて私は脱帽した。この試合を受けてくれた井岡に感謝をしたい」と井岡を称えた。

 試合に関して、「1Rは待とうと思った。最初からガンガンいくとは思っていなかったが、井岡が出てきたので驚いた。1Rから衝撃的な試合が行われ、何度か井岡のパンチが当たって少し痛みを感じた。練習は4ヶ月半〜5ヶ月やってきたので、12Rをやる十分な体力があった。私は試合中、かなりの量のコンビネーションを出した。プーマ風コンビネーションだ。日本で試合をするということは、12R全てのラウンドでポイントを取らなくてはいけないと思った」と振り返った。

 試合の分かれ目となった初回のボディに関して、「1Rからボディが入ったので、十分に防御をしようと思った。かなりボディは効いた」と打ち明けた。その上で、「12Rが終わった後、勝利は確信していた。井岡よりも手数が多く、ヒット数も多かった。私にも井岡のパンチは当たったが、その時には2倍3倍とパンチを返し、カウンターも入れ、長いコンビネーションで応戦した。2人のグレイトなチャンピオンが、日本の皆さんに最高の戦いを見せられた。次は新たなタイトルを探しにいきたい。バム(ジェシー・ロドリゲス・フランコ(22=米国)との試合も可能だし、田中(恒成=畑中)との試合も可能性がある。条件としては支払いの良い方。井岡との再戦は、もちろん井岡がリベンジを望むなら考える」と笑顔で答えた。

「井岡はまだまだできる」と語った内山高志氏
 試合の解説を務めた内山高志氏は「パワーと突進力。マルティネスは攻撃も多彩でしたね」と、WBAとIBFの王座を統一したマルティネスを称えた。試合のターニングポイントは、「初回に(井岡)が打ったボディが効いて、あれで(マルティネスが)警戒して、読まれた。中盤(マルティネスの体力が)落ちなかったのは、誤算。井岡が一発打ったら、三発四発返して調整してた。この間チャンピオンになった(ジェシー)ロドリゲス(米国)より強いかも」と総括した。井岡の今後に関しては、「まだまだできると思う」とエールを送った。