J・マロニー! 手の内を全く見せず!

　バンデージを巻いてから会見に臨んだマロニー。顔が小さく精悍な表情が印象的だった。「ずっと日本で試合がしたかった。巨大なイベントに参加できることを幸せに思う。完璧なコンディションを作って、最高の試合をすることを約束する。日本史上最大のイベントで、記憶に残る一夜にしたい」と、東京ドーム決戦を心待ちにしていた。

　昨年1月、亀田和毅(32=TMK)のスパーリングパートナーを務めて以来、2度目の来日のマロニーは「天候も時差もオーストラリアと近いものがあり、体調が整えやすい」と語った。

　マロニーは、2020年11月に米国ラスベガスで当時のWBA・IBF世界バンタム級王者の井上尚弥(大橋)に挑戦して7回KO負け。その後、昨年5月の王座決定戦で戴冠し、これが2度目の防衛戦だ。「井上との一戦は、自分にとってとても価値のある試合だった」。

　次戦で30戦目を迎えるが、サウスポーとの対戦はほとんどない。それに関し、「プロでは、たまたま(サウスポーとの対戦が)少なかっただけで、アマチュアでたくさんしてきたし、ジムにもサウスポー選手がいるので、スパーリングをしている」と、苦手意識はないと強調した。

　この試合に向けて、オーストラリアで前日本バンタム級王者の堤聖也(28=角海老宝石)、日本スーパーバンタム級2位の池側純(27=角海老宝石)、元日本ユース・バンタム級王者の中川抹茶(30=スパイダー根本)らとのスパーリングを重ねてきた。

　武居の印象を聞かれたマロニーは、「パワーと爆発力がある。キックボクシングをしていたバックグラウンドがあるので、普段とは違う角度のパンチが飛んでくる」と警戒。その上で、「集中力を切らさずに、目を逸らさないで戦うことが重要。集中力には自信がある」と意気込んだ。

武居だけではなく、八重樫も研究してきた

　アンジェロ・ファイダートレーナーは、「(マロニーは)見ての通り、スピードに長けたパンチャー。これまでも体格の差をものともせず、あらゆるボクサーのスタイルに合わせて勝ってきた」とマロニーのストロングポイントを挙げ、「武居は純粋なボクサーではなく、キックボクシングの経験がある選手なので、これまでとは違った準備をしてきた」と防衛に自信を示した。

　続けて、「武居の試合は、タリモ戦(ブルーノ・タリモ=豪/2022年12月)を会場で見て、彼のトリックを再現できるスパーリングパートナーを用意して練習してきた。八重樫(八重樫東トレーナー)の現役時代の試合映像も見て、研究してきた。我々の方が分がある」と豪語した。

　会見後、リングに上がったマロニーは、パンチを軽く打ち込みながら、何度かバックステップを披露しただけで切り上げた。

　八重樫トレーナーは、「雰囲気を持った良いチャンピオンだなと思った。骨格なども想定内」と話すと、「チャレンジャーなので、自分たちから仕掛けていくことになる。そこでマロニー選手にとってのサプライズがあればいい。(マロニー選手の)思考の上をいかないと勝てないと思っている。やれることはすべてやってきた。相手にとって不足なし」と言葉に力を込めた。

　大橋秀行会長は、「1ラウンドだけではわからないが、相当な自信を感じた。武居のことをトリッキーと言うが、武居の強さはそこではない」と語った。