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[アジア市場]2024.3.20

日本のリメイク映画で中国ボクシングが復調か

リングでの催しも華やかな中国ボクシング
「日本史上最大の番狂わせ試合」とも言われたゾウ・シミン(中国)対木村翔(当時・青木)のWBO世界フライ級タイトルマッチ(2017年7月=木村が逆転TKO勝ち)など、近年は日本との交流の多かった中国ボクシング界だが、コロナ禍以降はやや疎遠となっていた。しかし現地では旧正月(春節)に日本のボクシング映画『100円の恋』がリメイクされて記録的大ヒット。国内ボクシングが復調し、日本との互恵関係も高まる兆しが見えたと話すのは、ボクシング記録サイト『Boxrec.com』で中国地域を任されているアクー・ジャン氏だ。
 
アクー・ジャン氏
 高度経済成長を続けてきた中国では、プロボクシングに限らず、様々な新ビジネスが生まれては消える繰り返しだった。しかし、昨今は不動産バブルの崩壊などの影響で、プロボクシングでも景気のいい話が激減。英雄ゾウ・シミン氏の開いた豪勢なボクシングジムもすでに閉鎖している。
 しかし、その過程で様々な正解も見え始め、成熟度は高まってきたともアクー氏は語る。例えば以前の興行では、好景気に湧く自治体やスポンサー企業から開催費用を引っ張るばかりだったが、より堅実な観戦チケット制の導入も始まった。
 
スライマンWBC会長と連携するアクー氏
 『Boxrec.com』の管理は、担当地域で行われる試合に関して、公式記録を管理する重要な役割だ。「公平性や安全面で不十分な興行は、現地コミッションが認めないため、Boxrec.comもその記録を受け取らない」とアクー氏は言う。
 また、同氏はWBC(世界ボクシング評議会)にも参画して「WBC極東王座」を新設。その保持者(王者)には15位以内の世界ランキングを前向きに検討する形で、中国より広範囲で活性化を目指していく。「日本未公認の王座ですが、ぜひ世界ランキングを求めて外国でタイトルマッチに挑んでください」と、アクー氏は呼びかけた。
主役が役作りで20kg増量して50kgを減量した中国版『100円の恋』
 さて中国では、ランチタイムのバドミントンや広場でのダンス、太極拳のように、健康促進のために運動する習慣が根付いている。フィットネスとしてのボクシングは、最近人気が低迷していたが、『100円の恋』のリメイク映画『熱辣滚烫』が記録的な大ヒット(公開後1週間で興収534億円)を遂げ、多くのジムで会員者数が再び増加傾向だという。
中国の指導者も育成している
 それも根拠にして、アクー氏はこう締めくくった。
「試合はもちろん真剣勝負ですが、日中関係は、Win-Win(互恵)の関係を追い求めることが今後も根底にあって欲しいです」