[試合後会見]2024.3.18
井上岳志が豪州の難敵と激突!
Sウェルターアジア2冠戦
OPBF東洋太平洋とWBOアジアパシフィック・スーパーウェルター級2冠王者の井上岳志(34=ワールドスポーツ)が18日、後楽園ホールで開催された「NTT ドコモ Presents Lemino BOXINGフェニックスバトル111」のメインイベントで、OPBF同級1位、WBO-AP同級8位のウエイド・ライアン(34=豪)を相手に防衛戦に臨んだ。
2度目の世界挑戦を目指す井上と、オーストラリアから乗り込んできたライアンが真っ向勝負した。
2度目の世界挑戦を目指す井上と、オーストラリアから乗り込んできたライアンが真っ向勝負した。
熱戦の末、引き分け
初回は、ジャブを突いて中間距離から距離を探るライアンに対して、井上は、ノーモーションの右を上下に打ち分けて、様子を見た。左ロングでボディをに打ったライアンは2回、左アッパーを大きく打ち上げた。空を切らした井上は右オーを振り下ろした。3回、右フック、左ストレートとコンパクトに速く続けたライアンに対して、井上は右を上下に散らした。4回終了時の採点は38-38×3。中盤は中間距離から踏み込んで、交互に打ち出た両者だが、単発に終わる。井上は左の振り下ろし。ライアンはジャブから左ストレートとアッパーの打ち分けで突破口を探った。8回終了時の採点では、2-0[76-76,77-75×2)で井上がリードした。試合の終盤は、距離を詰めて接近戦で顔面を狙った両者だが、ダウンは奪えず。最終回に井上がバランスを崩したが危なげなく試合を終えた。試合は115-113,114-114×2でドロー。
「また日本で試合がしたい」
ベルトを奪うことができなかったライアンは「試合を終えて手応えがあったので、(勝利に)自信があった」と淡々と話すと、「左アッパーを狙っていたが、ジャストに捉えることができなかった。井上は良いパンチを持っていた。また、日本で試合がしたい」と再来日を希望した。
「負けなくてよかった」
ベルトを死守した井上は「負けなくてよかった。採点は微妙だなと思った」と安堵の表情を浮かべると、ボディを効かせたが、攻め切れなかった。雑になったところを狙われた。ライアン選手はパンチの強弱が上手くて、対峙してみないとわからない強さがある。しかし、精一杯やったので、納得はしている」と冷静に試合を振り返った。
採点表
昨日、同門で日本ユース・ライトフライ級チャンピオンの坂間叶夢(享年20=ワールドS)が亡くなったことを知ったという井上は、「どうしたらいいかわからなかった」と動揺を隠せなかったが、「彼に恥ずかしくないボクシングをしようと気持ちを切り替えた」と、試合に集中することに精一杯だった。「数少ない後輩で、減量がきつそうだったので、試合が終わったら『ご飯を食べに行こう』と約束していたのだが…」と表情が晴れることはなかった。
「坂間叶夢というボクサーがいたことを忘れないでほしい」
「坂間叶夢という素晴らしいボクサーがいたことを忘れないでほしい」。言葉を詰まらせた井上の目から涙が溢れた。「自分は凡人だが、坂間は世界を獲る器で本当に真面目な選手。自分がかけた言葉が追い詰めてしまったのかもしれない。坂間のためにも悔いのない生き方をしようと思う」と言葉を絞り出して、会見を終えた。