岩川美花vs山中菫! IBFアトム級戦
技巧派スイッチヒッターの岩川が初防衛に成功したのか? それとも元世界王者の兄、山中竜也(真正)に次いで兄妹で世界王座獲得を目指す山中が戴冠したのか? 注目のゴングが鳴り響いた。
序盤からしっかりガードを固めながら前に出て、先に仕掛けた山中に対し、岩川は身長とリーチ差を活かして距離を取った。踏み込んで上下左右に連打を繰り出す山中に対しても、落ち着いてガードで凌いだ岩川は、打ち終わりに左ストレートを返すと、接近戦の打ち合いにも応じた。試合後、最後まで打ち合った両者に大きな拍手が贈られた。ジャッジは、スピードと手数で押し切った山中を支持。判定で新チャンピオン誕生。ボクシング界初の兄妹世界王座獲得を果たした。
笑顔で控え室に戻った山中は、開口一番、「タフでしたね」と切り出すと、「ガードとプレス」に神経を注いだ試合を振り返った。「良いパンチあたったんですけど、倒れへん、やばいと思った。全然倒れなかったんで立て直した。パワー以外では(自分が)負けている。気持ちがめちゃ強かった」と、対戦した岩川の印象を口にした。
試合中は「セコンドの指示も聞こえていた」という山中は、試合前、兄の山中竜也(真正)から「集中ね!」とアドバイスを受けていた。兄妹で世界王座獲得は、世界でもおそらく初めての快挙。「兄が(世界を)取った時から、自分も取りたかった。心配してたが、会長もいたし、安心してできた」と、周囲のサポートに感謝の気持ちを伝えた。
試合後、控え室に戻った岩川は「山中選手はイメージ通りの強さだった。突進力がすごくて、それを止める技量が自分にはなかった。今回はパンチを受けすぎたのが敗因です。パンチの嵐が終わった頃に攻めようと思っていたが、受ける時間が長すぎた」と、試合を振り返った。山中の攻撃に関して「連打をもらってもあまり効かなかったので、いけるかな?と思って受けてしまった」と反省の弁が口をついた。「体力が思ったよりもなくて、前半で疲れてしまい、相手にダメージを与えるようなパンチが打てなかった。体力をつけるのが今後の課題」と再起を誓った。