ボクシングモバイルニュース
[公開練習]2023.7.18

ラミレスは余裕の表情

ロベイシ・ラミレス(29=キューバ)

 WBO世界フェザー級王者のロベイシ・ラミレス(29=キューバ)が18日、横浜にある大橋ジムで公開練習を行った。7月25日(火)には、東京・有明アリーナで、清水聡(37=大橋)の挑戦を受ける。ラミレスにとっては初防衛戦。清水にとっては世界初挑戦。ロンドンとリオ五輪2大会連続金メダリストのラミレスとロンドン五輪銅メダリストの清水によるオリンピアン対決としても注目を集めている。高度な技術戦が予想される。

 試合当日は、Leminoで無料生配信が決まっている。

お寿司を堪能

 公開練習の前に取材に応じたラミレスは「とても気分は最高。日本の文化に触れました。時差にも慣れました」と笑顔で日本滞在を楽しんでいる様子で、食事に関しても「寿司とトンカツ」を堪能したとご満悦だった。

時差にも慣れた!

 清水の印象を問われたラミレスだが、「世間が日本人ボクサーに持っている印象。長所は答えようがない。100%で臨んでくるだろうから、自分もコンディションを整えたい。いつもの自分の戦いを見せる。戦術は火曜日までお待ちください」とはぐらかした。

軽快なリズムでディフェンス力を披露
 会見に同席したイスマイル・サラス トレーナーは、「清水は背が高くてトリッキーな選手なので、対策を練っている」と準備は整っていることを強調。ラミレスに関して、「フィジカルもテクニックもトップの状態にある。120ラウンド以上スパーリングを消化してきた。試合ではロベイシのスタイルが見れる。”トレイン”のニックネームの通り、止まらない」と初防衛成功に太鼓判を押すと「ユリオルキス・ガンボア(キューバ)など他のキューバ人選手の様にリングで踊るのではなく、足を地につけた戦いをする」とファイトスタイルを解説した。
サラストレーナーも太鼓判
 五輪メダリスト対決に関しては「アマチュア時代とプロになってからでは違う」とラミレス自身、プロ転向後はアマ時代とは違ったボクサーになっていることを強調。厳しいサラストレーナーの指導のおかげで、成長出来たことを笑顔で報告し、「アマチュア時代は若かったので頭も足りなかった」と茶めっけたっぷりの笑顔を見せた。

 試合当日に競演するスーパーバンタム級に転向したばかりの井上尚弥(30=大橋)との将来的なマッチアップに関する質問には、「自分のキャリアにとってもファンにとっても大きな試合になる」との見解を示したが、「まず、目の前の試合に勝ってタイトルを防衛することが大事」と話し、清水戦に意識を集中した。
松本好二トレーナー

 この日、ウォーミングアップの後、縄跳びとスポンジバーを使ったディフェンスの練習を披露したラミレス。公開練習は約10分程度だったが、大橋秀行会長は「長く感じました」とスティーブン・フルトン(28=米国)の公開練習が極端に短かったため、7月25日のダブル世界戦に出場する井上尚弥(30=大橋)と清水聡(37=大橋)の公開練習時間も短縮されていたのを引き合いに取材陣の笑いを誘った。それでも、通常よりは短めの公開練習だったが「生まれ持った運動神経を感じた。動きが滑らか。準備運動と縄跳びを見ただけでわかる」とラミレスの身体能力の高さを確認していた。体格面に関しては「細いし、背が低い。フェザー級には小さいのかも」と印象を受けたようだ。時折、ヘッドホンに流れている音楽に合わせて歌を歌いながら体を動かすなど、リラックスした様子のラミレスを見て「自信満々だね。アウェイという感じは受けてない」と、チャンピオンの貫禄は十分に感じていた。

 松本好二トレーナーも「本気出したらすばしっこいんだろうなと思った」と、類稀な身体能力を再確認。「ビデオで見ていた通り」と想定内だったとした。その上で、「体は小さい。当てづらい標的。パワーはそんなにないと思う。(試合で使用するグローブは)8オンスなので、一概には言えないが、一撃のパワーは清水が上。清水はラミレスにとって、予測しにくいタイミングだと思う」と初見の印象を口にした。

 チャンピオンは、アマチュアスーパーエリートではあるが、「この試合が彼の分岐点になる。ラミレスにとっても、彼がバケモノに変わるかどうかの試合」との考えを示し、プロキャリアの差でも清水に一日の長があるとした。自分のリズムが崩された時の対応力にも関心を示した松本トレーナーは「清水の相手は、リズムを崩されることが多い」と切り出すと、アマエリートのラミレス攻略のヒントを口にした。その上で「最初の3分」が勝負のカギとなると明言した。

 世界初挑戦を迎える清水に今、松本トレーナーは「悔いのない戦いをしてもらいたい。勝つことを意識しすぎないで、出し切ってほしい。気持ちよくリングに送り出してあげたい」と、悔いのない戦いができるようトレーナーとして、大切な最後の役目を果たすことに集中した。