朝走って、夜練習。2人で当たり前を続ける。
昨夜の興奮冷め止まぬまま、それぞれKO決着でミニマム級暫定世界王座に就いた、WBC(世界ボクシング評議会)の重岡優大(26=ワタナベ)とIBF(国際ボクシング連盟)の重岡銀次朗(23=ワタナベ)兄弟が17日、東京・五反田にあるワタナベジムで一夜明け会見を開いた。
昨夜の世界戦で、国内では初めてVTS(ビデオテスティングシステム)が導入され、IBFの試合中に中村勝彦レフェリーが1度だけ「パネル」と呼ばれる3名の助言を求めた。これにより、試合が一旦中断された。ボクサーの立場でVTSを体験した銀次朗は「(ダウンがスリップに修正されたので)相手が救われた側だったけど、それに対して『オイなんだよ』とはならなかった。試合に集中していたし、(あの場面は)スリップでもおかしくなかった。ただ、VTSの判定のタイミングについては、相手がちょっと疲れていたので、『今攻めておきたかったな』と少し思った。後でいろんな意見が出るより、クリーンな結果が出るなら、その方がいい。それの第一歩だったと思う」と感想を述べた。
会見に同席した町田主計トレーナーは「2人を任されて、何年かコロナ禍も経て、全力でサポートしてきたが、特に何かをしたわけではない。2人ともすごく素直で、色々とコミュニケーションを取りながら出来たことが、昨日の結果に繋がったと思う」と、信頼関係の構築ができたことを勝因に挙げた。
渡辺均会長は「銀次朗がジムに来たときから、世界チャンピオンになると思っていたし、世界チャンピオンにしなければ、自分の責任が果たせないと思っていた」と肩の荷を下ろせたことに、安堵の表情を浮かべた。いつも本音で語る渡辺会長らしく、「昨日の試合を見て、『やっぱり強いな』と思った。それまでは、期待感しかなかった」と記者の笑いを誘った。
今後に関して、23歳の銀次朗は「自分は体も小さいので、できることはなんでもやりたい。もし、兄が階級を上げるなら、そのベルトも欲しい。最終的に、このミニマム級で(日本人)防衛記録を塗り替えたい。それを叶えるために勝ちつづけたい」と抱負を述べた。
26歳の誕生日に、将来の夢へのスタートラインに立った優大は、「まだ7戦しかしていないので、これから倍の14戦、その倍となっていくと、どんどんチャンピオンにふさわしくなり、誰もが認めるチャンピオンになると思う。強くなりたいということだけしか考えていない。ボクシングを極めたい。そのために、初心を忘れないこと。朝走って、夜練習して、当たり前のことを何歳になっても2人で続けていきたい。そうすれば、どんどん道が広がっていく。今は見えない景色が見えて、選択肢も増えていく。これからどんな未来が待ってるか、俺自身が楽しみ」と目を輝かせた。