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[試合後談話]2023.4.8

激闘! 寺地拳四朗vsアンソニー

2本のベルトを掲げてリングイン

 WBA・WBC世界ライトフライ級統一王者の寺地拳四朗(31=BMB)が8日、試合直前に変更となった挑戦者のアンソニー・オラスクアガ(米国)を相手に、有明アリーナで 2団体王座防衛戦に臨んだ。

激闘!
 サウスポーとの対戦のために準備を進めてきた寺地拳四朗に、対戦相手がオーソドックスに変わったことが伝えられたのは、試合の約2週間前。当初は、WBO王者のジョナサン・ゴンサレス(31=プエルトリコ)と3本のベルトを懸けて対戦する予定だったが、ゴンサレスがマイコプラズマ肺炎に感染したため、事情が変わった。それでも拳四朗陣営は、2団体王座防衛戦に臨んだ。この試合は「チャンピオンの義務」と加藤トレーナーと拳四朗が口を揃えた。
最後は拳四朗が仕留めた!
 前に出て積極的に手を出し、拳四朗に食い下がるアンソニーに対して、ボディとジャブを突いてプレッシャーをかけた拳四朗。超打撃戦に会場はヒートアップ。最後は、拳四朗が気持ちで力の差を見せつけた。情報が少なかったアンソニーの評価は、ラウンドを重ねるごとに上がっていった。それでも、絶対王者はロープに追い込むと、容赦なくパンチをまとめて、アンソニーを崩れ落とした。
チームに感謝

 大勢の記者が待っていた記者会見場に姿を見せた拳四朗は「ありがとうございました。アンソニー選手は落ちていかなくて、自分との戦いだった。心折れるなって声。最後まで戦い切れた。トレーナーの声が響いた試合になりました」。試合後には、加藤健太トレーナーをはじめ、チームみんなに対して、感謝の言葉を繰り返した拳四朗。「口には出さなかったけど、不安もあった。加藤トレーナーが自分の良いところを言ってくれて、盛り上げてくれた」とリング上でも流した熱いものを、記者会見場でも光らせた。

加藤健太トレーナーと拳四朗
 結果的には、ほぼフルマークだったが、「ペース的には悪くなかったが、アンソニーは、気持ちも強くて、あそこまでついてくるとは思ってなくて、自分もまだまだだなあ。トレーナー、支えてくれてありがとう。自分一人の力で勝った試合ではない」と振り返った。

 会見に同席した加藤健太トレーナーは「アンソニーはディフェンスもいいし、最後まで虎視眈々と狙ってたので、気の抜けない試合だった」と挑戦者を称えた。ポイントの取り方に関して、「押し引きの指示が難しかった」と振り返り、拳四朗に足を使わせることで、「弱気になること」を避けるよう気をつけていたことを明かした。
アンソニーとルディ・エルナンデストレーナー

 涙目で会見場に入ったアンソニー・オラスクアガ(米国) は「2回チャンピオンになっている選手と戦えて光栄。しかし、自分の思った通りには、ならなかった。勝つために必死だったので、疲れのことよりも勝つことを考えていた」と、ビッグチャンスを逃したことを悔しがった。

 右手に包帯をしていることを指摘されたが、アンソニーは「治療しないといけない」とだけ伝え、ルディトレーナーは「負けたことの言い訳にしたくないので、この話はやめよう。チャンピオンを称えよう」と述べ、「16日前にオファーが来て受けた。負けたけど、終わってはいない。私たちは、また帰ってくる」と再起を誓った。