死闘を制してベルトを掴んだのは?

　前半は、中間距離での攻防を繰り広げたが、渡邉の右ストレートが顔面を捉えた。3回になると、体を密着させながらショートパンチの応酬。4回終了時の公開採点は、38-38×2、39-37×1で渡邉がリード。中盤もお互いの意地がぶつかり合う打ち合いを見せたが、渡邉のショートアッパーが冴えわたった。8回終了時の公開採点は、77-75×3で渡邉が差を広げた。9回、森はさらに圧力を強めて左を強振。11回は手数が減った渡邉を攻め立て猛追。最終12回も激しく打ち合った。ジャッジ3者ともに114-114とし、新チャンピオンは誕生しなかった。

　後半、盛り返して引き分けに持ち込んだ森は「自分の方が強いパンチを当てていると思ったが、セコンドから『ポイントを取られているぞ』と。最後に打ち合ってポイントを取り返したのは良かったが…、悔しいですね」と内容にはまったく満足せず、敗者のように悔しがった。

　「中間距離で戦おうと思ったが途中、陣営から『前に出て打ち合った方がいい』と言われた。あれが最善の策だった。(引き分けで)セコンドのおかげで首の皮が一枚つながった」と話した。

　一方、惜しくもベルトを逃した渡邉は「前半から中盤にかけて、パンチが当たったのでリードしているなと思った。ここまで体が密着する展開になるとは思わなかった。手数で盛り返されたが、イケた(勝った)かなと思ったが…」。最初は淡々と試合を振り返っていたが、時間が経つにつれて悔しさが増してきた。

可能なら、またタイトル戦がしたい

　「再戦がしたいか」という問いに対し、少し間を置いて「自分だけで決められることではないので、簡単に再戦がしたいとは言えないが、可能ならやりたい。タイトルマッチがしたい」と語った。