日本代表選手団がカザフスタンから凱旋
6月29日から7月4日までカザフスタンの首都ヌルスルタンで開催された『第1回エロルダ杯国際トーナメント』に出場した日本代表選手団が6日、凱旋帰国を果たした。
今大会では、日本代表の女子ライトフライ級・並木月海(自衛隊体育学校)が金メダリストに輝き、男子代表のライトミドル級・岡澤セオン(株式会社INSPA)も銀メダルを獲得。2年後のパリ五輪に向けて存在感を示した。
現地時間の4日に行われた決勝戦で並木は、サビナ・ボボクロワ選手(ウズベキスタン)に判定5-0でポイント勝ち。「約1年ぶりの国際大会で少し緊張もありましたが、“オリンピック・メダリストとしての再出発”というより、“新たな自分のスタート”として臨みました。カザフスタンは私にとって縁起のいい国なので、この大会で新たなスタートを切れて、うれしく思っています」と現地からメッセージを発信した。
帰国の空港で取材に応じた並木は、1年ぶりに出場した大会で金メダルを獲得し、好スタートを切ったことにも「いいきっかけ、いいスタートが切れた」と、穏やかな表情で凱旋の報告をした。東京五輪以前は、「勝たないといけない」との気持ちから勝負への執念に燃えていたというが、今大会は「勝つことへのこだわりは大切だけど、ボクシングを純粋に楽しめた」と、振り返った。東京五輪以降、フィジカルの強化に時間を割いた並木は、カザフスタン、インドといったフィジカルの強い選手達を相手にしても「力負けしない。力も強いほうだったと思う」と、手応えを口にした。今後は、秋の全日本選手権を目標に調整を続けていく。
東京オリンピックの銅メダル獲得以来となる国際大会出場だった並木は、同トーナメントの前身となった「カザフスタン大統領杯」でも優勝実績がある。
一方、岡澤はアスランベク・シンベルゲノフ選手(カザフスタン)に判定1-4で敗れて優勝を逃した。
到着ロビーに一番に姿を表したセオンは「初戦は、判定に苦しんだ」としながらも、「前で打ち合って、自分からワンツー、ポイントを取るボクシングもできた。ボクシングの引き出しが広がった。優勝もしたかったが、71kg(の試合)を肌感覚で知れたことが良かった。パリ五輪に向けて、かなり手応えのあるいい大会になった」と、カザフスタンの大会と合宿を振り返った。71kgのリングに関して、「もしかしたら、身長差が壁になるかも」と、切り出したセオンは、自分よりも背の高い選手、特にサウスポーの長身選手に対する苦手意識があるとした。ただ、自身の課題を堂々と口にするのは、世界のトップ戦線を牽引する一人にまで成長を続けてきた、自信と自覚があってのもの。不安は感じさせなかった。今後は、8月の国体のブロック予選を念頭に、調整に入る。
■日本代表選手団
[男子代表]
牧野草子(自衛隊体育学校)
原田周大(専修大学)
北本隼輔(自衛隊体育学校)
岡澤セオン(株式会社INSPA)
森脇唯人(自衛隊体育学校)
若谷豪(愛媛県競技力向上対策本部)
[女子代表]
並木月海(自衛隊体育学校)
田中鈴華(芦屋大学)
[コーチ]
シン・ウラジミール(ナショナルコーチ)
本博国(自衛隊体育学校)
小山田裕二(駒澤大学)
荒竹俊也(wild.b sports)
矢田圭一(自衛隊体育学校)
市川直人(自衛隊体育学校)