死闘! 日本ライト級王座戦!

　王者の力を示した宇津木が初防衛に成功した。序盤は、富岡が足を使いながらジャブを軸にテンポの良い攻撃で先手を奪うと、左ボディをヒットした。なかなかペースを掴むことができなかった宇津木だったが、ボディ攻撃に活路を見出すと、ジワジワと富岡の体力を削っていった。前半終了時の採点は、3者とも1ポイント差で富岡がリード。しかし、宇津木はプレスを強めるとワンツー、左ボディを好打。富岡も意地を見せたが、ペースは完全に宇津木のものに。勝負が決まったのは8回。宇津木が左ボディ、右フックと攻めたところでレフェリーが割って入った。

　苦しみながらもベルトを守った宇津木は「序盤、動きが硬く相手のジャブも見えにくかった。ポイントは取られていると思ったが、メンタルを潰していき、最後に倒せばよいと思いながら戦った。テンプルへのパンチが効いているのがわかったので、このままのペースでいけば倒せると思った。反省点は多いが、まずは勝てて良かった」と淡々と試合を振り返った。

初防衛の重圧があった

　鬼門の初防衛戦と言われるが、やはり重圧を感じていたようだ。毎回、試合当日に行くうなぎ屋で食事をしている最中、「この店に飾られている自分のサインを見た時に『負けたらベルトを失うのか』と思ったら、急に青冷めてしまって」と試合前の心境を語った。

　この日、サブセコンドに就いたのは、日本時間11日にメキシコで世界王座防衛に成功したばかりの京口紘人(28)。「プレッシャーを乗り越えて強くなっていくもの」と話すと、「相手を削っていくスタイルが確立されて、安心して見ることができた。強い相手に勝って自信を持っていいと思う」。そう語って、1歳下の後輩を評価した。

チームで掴んだ勝利

　コンビを組む小林尚睦トレーナーは、京口のメキシコ遠征に帯同していたため、試合直前まで一緒に調整することができなかったが、毎日、練習動画を送ってもらいコミュニケーションを図ってきた。京口からも「宇津木に連絡してあげてください」と言われたという。

　さらに、日本に残った小口忠寛トレーナーとは最後までしっかりと調整した。「皆のおかげで勝つことができた」。チームへの感謝を述べた宇津木だが、続けて「今は、パフェが食べたいですね」と話し、報道陣の笑いを誘った。

　一方、最後まで食い下がるも涙を呑んだ富岡は、電話取材に応じると「まだ上手く試合を振り返ることができないが…、悪い流れではなかったと思う。(ポイントで)勝っているとも負けているとも思わなかったが、後半にギアを上げていければと思った。テンプルに何発かもらって効いてしまった。相手がテンポを上げてきたことに対して、リズムを掴むことができなかった。ただ、やってきたことは出せたと思う」と気丈に話した。