決戦まで2週間! 井上尚弥vsドネア
WBAスーパー・IBF世界バンタム級統一王者の井上尚弥(29=大橋)が25日、夕方5時から代表取材に応じた。この日の練習内容は、シャドーボクシング、サンドバッグ打ち、リング内での長めのミット打ちなど、約1時間45分のメニューだった。
★井上尚弥の代表インタビュー
―現在の心境、コンディションは?
井上「もう(試合まで)2週間を切って、いよいよなので。自分の中でも、もうようやくここまで来たなという心境ですね。コンディションもうまく仕上がっていると思います」
―SNSなどで「1ミリのズレも許されない。徹底的に仕上げる」と書いていたがー
井上「毎試合そうですけれど、この時期の調整では、かなりうまくやれていると思う。ここからあと10日ちょっと、しっかりイメージをずらさないようにしたい」
―試合で使用するグローブ、トランクス、ガウンで替えた点は?
井上「どうなんですかね、毎回替えていますからね。そこに特別な思いはないです。色は黒ベースです。黒も感覚と気分と、ですね」。
―「一方的に触れさせず終わる」「しっかり倒す」の発言は、早期決着を見据えている? それともスピードで圧倒して出入りの多いボクシングを想定しているのか?
井上「相手がドネアなので、そこは実際にリングに上がって、感じてみないと分からない部分が多いですけれど。いずれにしてもリングに上がってからなので…感覚でいきたいと思います」。
―1戦目が激闘になったことが、今回、一方的に勝ってみせるという思いにつながったのか。
井上「1戦目がそのつもりでしたが、2ラウンド目に深いダメージを負ってしまって。そうならなくなって、というところが自分の中で悔いが残っている場面ではあるので。今回は、1戦目にやろうとしていた試合展開にしたいなと思っています」
―2ラウンドで眼窩(がんか)底骨折したが、アクシデントだったのか、それとも修正すべき点があるのか?
井上「アクシデントとは思っていないですけれど。あれはドネアの実力で当ててきたパンチなので。それで自分の不注意さとフェイントにかかってしまったところはあるので」
―ドネアが「ワナを仕掛ける」「前回と違う戦い方をする」と話している。どう受け止め、どう対応するか?
井上「それはお互い様だなと思いますし。自分はどんなワナ、フェイントがあろうが、すべてに対応できる状況にしているので。そこも楽しみにしています」
―今後を見据えての導入と聞いているが、八重樫トレの効果は今回出るのか?
井上「足腰の強さは感じていますし、何しろ自分が1番気にしている腰痛というものが八重樫さんのトレーニングで、腰を鍛えることによって痛みもなくなってきているから、すごく効果は出てきていると思います。不安は減った? そうです」
―次戦はWBO王者バトラーとの4団体統一戦、スーパーバンタム級で4階級制覇狙うのか。どちらを希望するのか?
井上「自分としてはバンタム級での4団体統一を、まずは優先に考えていきたいです」
―ドネア戦の内容によっては、PFP1位も見えるのでは?
井上「次の試合もしっかり自分がやりたいボクシングをすれば、そういった評価も後からついてくると思うので。まずはそこを気にせず、自分の最大限を出していきたいと思います」
―今回の1戦は「ドラマ・イン・サイタマ」と言われているがー
井上「第1戦でドラマにしてしまったという自分の誤算がありますけれど。今回はそういう試合にならないと思う。本当にここでスッキリとした内容で勝ちたいと思います」
―より気持ちいいドラマが待っている?
井上「そうですね、この先、4団体統一、4階級制覇するための試合だと思って臨みます」
―ドネアは「前回と同じドネアではない」と発言している。その辺はどう感じる?
井上「いろいろ策は練ってきていると思いますし、前回12ラウンド手を合わせてお互いに感じているものはあると思う。6月7日は、引き出しの多さをどちらが出せるか、感覚的に戦えるか、そこがカギだと思っています」
―今回は、王者との統一戦ですね。
井上「このコロナ禍の3戦はランカーとの戦いになり、ようやく3団体統一という大きな節目の試合ができる。自分の中でモチベーションは高いですし、やっぱり、こういう試合で自分は最大限のパフォーマンスを発揮できるタイプだと思っているので。当日、本当に自分自身に期待していますね」
―今回も会場はさいたまスーパーアリーナです。
井上「また、さいたまスーパーアリーナで、日本人初の3団体統一を懸けて戦えるのは一種の運命だと感じていますし。そういった1戦目を含めてからの流れもファンも見てくれるので。そういったところも感じながら、試合当日は、自分たちは良い試合を見せるだけなので、楽しんでほしいなと思います」
―ドネアが前回の井上戦で復活し、ボクシングも向上したと発言しているが。ドネアにどんな思いがある?
井上「前回、自分との試合でモチベーションを含め、評価を上げてしまったので。今回、自分との戦いが最後に、しっかり花道をつくれれば。自分はそんな思いで臨もうと思っています」
★大橋秀行会長のコメント
大橋会長「あと13日になりましたが、ドネアも来日し、日々緊張感は高まっている。井上尚弥も順調に練習を積んでおり、このままの調子でリングに上がれると思う。苦しい、激しい戦いになるのは間違いないので、良い試合になるのは分かっている。今から楽しみです」
―これまでの調整は?
大橋会長「本当にいいと思います。最近感じるのは、足腰の強さ。下半身からくるパンチの強さが、すごく感じますね」
―八重樫トレの効果ですか?
大橋会長「それだけでなく、全体的なトレーニング効果で、さらにスケールアップしている印象を受けている」
―スパー内容は?
大橋会長「約3年ぶりに海外からパートナーを呼ぶことができ、やはり日本人選手にはないタイミングのパンチ、フェイント、動きをしてくるので、そういうのにも対応できている」
―ドネアとの再戦の意義は?
大橋会長「ドネアも尚弥に負けて、2連続KOで王者になっている。それなりの覚悟をもってくると思う。こちらも同じ覚悟を持って迎え撃ちたいと思う」
★父真吾トレーナーの一問一答
―尚弥選手の状態は?
井上真吾トレーナー「状態はいいですよ。スパーリングも大体いつもと一緒ですが、100ラウンドちょっとぐらいになると思う」
―再戦となるが、展開はどう想像している?
真吾トレーナー「これまで結構、聞かれて答えていますけれど、前回は前回でしっかり終わっている試合だと思っている。ドネアがWBC王座を取ったことで再戦という形になった。前回よりもはっきりした形で終わらせたい。そこは本人もこだわっている部分なので、自分たちとしてはすっきりした形でいけるのかなという思いがあります」
―これまでの練習内容が自信になっている?
真吾トレーナー「(それは)ありますね。本人の意識が高いので。もう、しっかり仕上がっていっています」