尾川堅一に世界チャンピオンベルトが届く!
11月27日、米国ニューヨークでIBF(国際ボクシング連盟)世界スーパーフェザー級新チャンピオンに輝いた尾川堅一(帝拳)。彼の元に12月21日、待ちに待ったチャンピオンベルトが届いた。
「試合を終えて3週間と少し時間が経ちますが、割と落ち着いた時間を過ごしていましたね。まだ自分が世界チャンピオンになった実感が湧いてこないということもあるし、約4年前にも王座決定戦がノーコンテストになるという経験をしているので、当時のことを思い出すと、単純に興奮もできないなという気がしていたような気がします。それと、帰国してすぐコロナによる隔離期間があったことも、落ち着きを呼ぶのを手伝ってくれたのかもしれません」とコメントを寄せた。
しかし、改めてチャンピオンベルトを手にすると、その重責を感じると、尾川は先の世界を見つめる。
4年前のノーコンテストというのは、次のようなことだ。
2017年12月に世界王座を獲得した尾川だったが、WADA(世界反ドーピング機構)の尿検査で陽性反応が出たため、その時の王座決定戦はノーコンテストとなり、悔しい思いをした。しかし、試合を管理したネバダ州アスレチック・コミッション(NSAC)が行った試合後の尿検査では陽性反応は出なかった。
当時は、アトピー性皮膚炎の処方薬が原因ではないかと、同情の声も上がっていた。試合当日は陰性だったことと調査に全面的に協力的だったことから、本来なら1年間の出場停止が6ヶ月間に留まり、30%のファイトマネーの返金も20%に減額された。
「でも、こうしてベルトが届いてみると、いま、会長は不在で残念ですが、マネジャー、トレーナーの皆さん、先輩や後輩に次から次へとおめでとうと喜んでもらえました。そんな周りの声で、ようやく世界チャンピオンになった実感が湧いたというか、何とも言えない良い気分です。もちろんここがゴールではなく、スタートだと思っています」
尾川の目は先をみすえ、世界チャンピオンの重責に応える準備は整っている。