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[引退]2021.8.4

元王者の向井寛史が引退表明

向井寛史(六島)がリングを去る
 元WBOアジアパシフィック・スーパーフライ級王者の向井寛史(35=六島)が、7月31日に自身のブログで引退を発表した。
 2018年8月に元世界3階級制覇王者の八重樫東氏(大橋)に7回TKO負けを喫したのが最後の試合となった。
 電話取材に応じた向井氏は「ジムと何度も話し合って決めた」と、ラストファイトから3年経っての決意を口にした。
 生涯戦績:25戦16勝(6KO)6敗3分
ラストファイトとなった八重樫東戦
 八重樫戦後に右膝の手術に踏み切った向井は、2019年冬に台湾での復帰戦に向けて練習していたがスパーリング中に左手親指を骨折。試合はキャンセルとなった。「ジムは、今後の人生のことを考えて話してくれたが、自分としては『まだできる。強い相手との試合でどれくらいできるのか』を確かめたくて、頑なに引退を否定して復帰を模索して練習していた。ただ、今年の秋に第二子が誕生すること、年齢のこと。そして、常に自分の体と家族のことを考えてくれたジムと何度も話して納得して決めた」と引退の経緯を説明した。
世界戦は2度経験した
 南京都高校(現京都廣学館高校)でボクシングを始めた向井は日本大学に進むと、全日本選手権3位、国体準優勝の実績を残し2009年8月にデビュー。2011年12月にWBC世界フライ級王者のポンサクレック・ウォンジョンカム(タイ)、2013年11月にWBC世界スーパーフライ級王者のシーサケット・ソールンビンサイ(タイ)に挑戦。その後、2016年11月と2017年12月の2度にわたりWBOアジアパシフィック王座を獲得した。
ベストバウトは冨山浩之介戦
 25戦のベストバウトを聞かれた向井は「強い選手とたくさん試合させてもらったし選べないなぁ!」と話したが「一番自分らしい動きができた」と、2015年4月に元OPBF東洋太平洋スーパーフライ級王者の冨山浩之介(ワタナベ→引退)の一戦を挙げた。「試合直前まで自分の動きにしっくり来ていなかったが、アップ中に『この動きだ!』と修正して臨んだら自分らしい良い動きができた」と当時を振り返った
「ジムに感謝している」
 「5戦目で東洋太平洋王座、7戦目で世界タイトルに挑戦させてもらい、世界戦や多くのタイトルマッチを組んでいただいた。WBOアジアパシフィック王者にもなれたし、香港で世界1位とも試合をさせてもらった。本当に恵まれていた」と、所属ジムに感謝の気持ちを言葉にした。
現役生活お疲れさまでした
 八重樫戦後からトレーナーを務めながら3名の若手ボクサーを指導している。「8月8日にデビューする山﨑(山﨑海斗)も体験練習で来た時に、自分のアドバイスに共感してくれて六島ジムを選んでくれた。指導する立場になり、慕ってくれるこの子たちを勝たせるためにこれからも全力で向き合っていく」と、トレーナーとして六島ジムを盛り上げていく決意を固めた。

 向井は「担当している3人が四国出身(山﨑が高知県、山下陸(21)が香川県、湯浅響仁(22)が徳島県)なので、次は愛媛県出身のボクサーに来てほしいですね」と電話口で笑った。