八王子は下克上の連続!

　久保がジャブを突きながら積極的な攻撃でペースを掌握。吉野は打ち終わりを狙うが、後手に回った。しかし、2回に突如フィナーレを迎える。吉野が右カウンターを決めて痛烈なダウンを演出。ダメージの深さを考量したレフェリーが試合を止めた。

　2度目のランカー挑戦で結果を出した吉野は「ガードしてからパンチを返すことを意識していた。ダウンを奪ったパンチはブロックしてからの右で手応えがあった。ジムにチャンスをもらったので絶対にモノにしたかった」と勝利の味を噛み締めていた。

　「小学3年生でジムに入門してから15～16年はいる」という吉野は、八王子中屋ジム一番の古株だ。この日、日本ユース王座を防衛した佐々木尽(19)をはじめとした同じジムの後輩の活躍に「正直なところ焦りを感じていた」と胸の内を明かしたが、「勝ててホッとしている」と先輩として存在感を示した。

　「決められた試合を勝っていきランキングを上げてタイトルに挑戦したい」と頂点を目指す。

　第3試合スーパーフェザー級6回戦では、日本同級13位の谷口彪賀(22=八王子中屋)と一道宏(36=T&T)が対戦。試合は、ダウン応酬の大激戦となった。

　サウスポー谷口が初回に左ストレートでダウンを奪うと、ワンツー右フックでダウンを追加。3回にもワンツーで3度目のダウンを演出した。万事休すかと思われた一道だが、ここから右ボディで動きを止めると、右ストレートを振り抜き起死回生のダウンを奪う。4回、一道はロープに詰めて連打を浴びせると、レフェリーが試合をストップした。3度のダウンを奪われた一道が、大逆転KO勝ちで日本ランキング入りを確実とした。

　試合後に取材に応じた一道は「最初から判定勝ちは狙っていなかった。立っていればチャンスは来ると思い最後まで諦めずに戦った。相手は10回戦ったら1回勝てるかというくらい強い。ただ、その1回を引き寄せる運が自分にはあった」と逆転KO劇を振り返った。

　プロゴルファーを目指していた一道だが、32歳でボクシングを始めると33歳でプロライセンスを取得。36歳で日本ランカーの仲間入りを果たす。
　
　一道は「日本ランキング入りが目標だった。まさか、自分がここまで来ることができるとは思わなかった」と声を弾ませると、「同年代のアスリートに夢を与えたい」と抱負を語った。