赤穂亮の右が炸裂!

　試合前から公言していた「赤穂劇場」を存分に見せた! 下克上を狙う杉田が、プレスをかけて単発のジャブで先制攻撃を仕掛けた。しかし、赤穂は冷静に対応し、左アッパーで迎え撃つと右ロングフックを決めてダウンを先取した。これでリズムを掴んだ赤穂は、強烈な左ボディ、右フックを好打すると杉田のパンチを見切り被弾を回避。守勢を強いられた杉田だが、真っ向勝負を挑み前に出る。しかし、赤穂は左ボディから右フックで2度目のダウンを演出。ここも立ち上がった杉田だったが、10カウントが数え上げられた。

　試合後に囲み取材に応じた赤穂は「自分にパンチがあるから打開できたが、相手は低く前に来たのでやりずらかった。想定内だったが、以前の自分だったら頭をぶつけられてムキになっていたと思う。ただ、リングに上がった時に客席に娘たちの姿が見えて冷静になることができた。ジャブで立て直しができて成長を実感した」と自らの出来に合格点を与えた。
　赤穂は、昨年5月に結婚し3姉妹の父になった。昨年8月に誕生した三女は、この日が初観戦だった。赤穂は「子どもに良いところを見せることができた」とパパの顔になっていた。

　続けて試合を振り返った赤穂は「最初はジャブが避けずらかった。初回は彼が上手く戦ったと思う」と話したが、「軽く打っても効かせることができたので、この階級(スーパーバンタム級)でもパンチ力はズバ抜けているんだなと再確認できた。パンチを見切って打つことを心掛けた。左アッパーはクリーンヒットしなかったが、相手は怖かったと思う」と納得の表情だった。

　試合前に尊敬しているWBC(世界ボクシング評議会)バンタム級新王者のノニト・ドネア(比/米)から激励のメッセージが届いたことを明かした。全盛期を思わせる動きを見せた赤穂は「34歳になるが、今が一番充実している。練習前から本当に考えるようになったし、楽しくボクシングができている。勝って次につなげることができたのでまだ青春を謳歌できる。この強い時期にチャンスがきたらと思う」と笑顔を見せた。

　今後、戦いたい相手の名前を聞かれた赤穂は、WBOアジアパシフィック・スーパーバンタム級王者のジュンリエル・ラモナル(31=比)、そして「一度、ぶっ倒されているので男として借りを返したい」と、2015年8月世界戦でKO負けを喫した元WBO世界バンタム級王者のプンルアン・ソーシンユー(33=タイ)の名前を挙げた。

　一方、試合後に電話取材に応じた杉田は「8オンスのグローブであんなに効かされたのは初めて。相手の左フックに右を合わせようと思ったが、右も強かった。赤穂さんが1枚も2枚も上だった。赤穂さんには世界を獲ってほしい」と長らくトップ選手として勝ち続けている赤穂の強さを認めた。
　しかし、最後まで果敢に打ち合い会場を沸かせた。「男気は見せることができたと思う。気持ちの試合ができた」と清々しかった。