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[試合後談話]2021.5.30

三重で2年ぶりに開催! 熱戦が続いた!

左:菅原秀馬(市野) 右:飯見嵐(ワタナベ)
 市野ジム主催の「REAL FIGHT.6」が30日、メッセウィングみえで行われ、全6試合で熱戦が繰り広げられた。メインイベント、スーパーフェザー級8回戦では菅原秀馬(25=市野)と2017年東日本スーパーバンタム級新人王の飯見嵐(24=ワタナベ)が対戦した。
 技巧派サウスポー菅原が相手を空転させたのか、それとも勝ち星すべてがKOの飯見の強打が爆発したのか――。
菅原秀馬(市野)が判定勝ち
 左ストレートを的確に決めた菅原が判定勝ちした。序盤は静かな展開となったが、中盤以降は菅原がキレのある左ストレートでポイントを加点。飯見の右フックを浴びて効いた場面もあったが、ジャブを軸に相手の攻撃をシャットアウトした。
「ジムのリーダーとして勝てて良かった」
 再起戦を勝利した菅原は「相手に一発があるので序盤は警戒して戦った。後半になり左が当たってきた。会長から最終ラウンドが始まる前に『ポイントでは勝っていると思うが、最後まで倒しにいけ』と指示が出て攻めた。勝って長いトンネルを抜けた気分」と冷静に試合を振り返った。
 試合の2週間前に日本ライトフライ級王者の矢吹正道(緑)とのスパーリングを敢行した。菅原は「矢吹さんは間合いが良くて、下の階級なのにパンチに迫力があった。試合でパンチを受けても『これくらいか』と冷静になることができた。矢吹さんとの実戦練習のおかげです」とトップ選手とのスパーリングの効果を口にした。

 近鉄の車両整備をしている菅原は「仕事の関係上、コンスタントにすることはできないが、これからも会長が決めてくれた試合をひとつずつ勝っていく」と拳を握りしめた。ジム頭として「リーダーシップを取っているので勝って説得力をつけたかった」と笑顔を見せた。
KO勝ちした山辺蓮(市野)
 第4試合ライト級4回戦では、山辺蓮(24=市野)と石崎慎太郎(30=平石)が対戦。アマチュア26戦17勝9敗、国体3位の実績を持つ山辺は初回に左ストレート、さらに連打で立て続けに倒し絶好のスタートを切った。2回以降は石崎の粘り強い攻撃に手を焼いたが、4回に左ストレートが火を噴き3度目のダウンを奪うと左右をまとめてフィニッシュした。

 試合後に取材に応じた山辺は「ダウンを奪ってから焦ってしまい、相手にリズムを読まれてしまった。4回に倒したパンチは狙い通り。2戦2勝の相手を倒すことができてうれしい」と声を弾ませた。
 高校時代は部活と市野ジムで練習を積み、京都の龍谷大学ボクシング部で活動していたが、卒業後は仕事の都合で、一度競技から離れて2年のブランクを作った。それでも「お世話になった市野ジムでプロになりたい」と職場を変えてこの日を迎えた。
 
 次戦は8月8日(日)に中日本新人王決勝戦のリングに上がる。山辺は「全日本新人王になって最短ルートで日本ランカーになりたい」と飛躍を誓った。
冷静な動きを披露した塩田賢(市野)
 第2試合バンタム級4回戦では塩田賢(27=市野)と大久保俊亮(20=中日)が激突。サウスポー塩田は前に出てくる相手に右フックを決めてペースを掴むと、3回に右フックから左右をまとめてストップ勝ちした。

 デビュー戦を終えた塩田は「出番前の試合で同門の選手がKO負けしたのを見て、初回は慎重に戦おうと思った。落ち着いて自分の距離で戦えたと思う」と会心の勝利に納得の表情だった。
 就職のため、沖縄から三重に来た塩田は「興味本位で」と約1年半前に市野ジムに入門した。メインに出場した菅原とのスパーリングで「こんなに強い人がいるんだ」とプロボクサーを目指した。

 今後の抱負を聞かれた塩田は「来年の新人王を目指す」と話すと、「今は甘いものを食べたいです」と頬を緩めた。
右:市野将士会長と菅原秀馬
 市野将士会長は「コロナの影響で開催できるのか、そしてPCR検査の結果など最後まで気が抜けずドキドキした。無事に終わってくれて良かった」と約2年ぶりの自主興行を終えて安堵の表情を浮かべた。

 この日は会場のメッセウィングみえに650人が入り盛り上がりを見せた。入口では検温と消毒、会場の扉を開けて換気に努めるなどコロナ感染対策を徹底していた。市野会長は「地方興行のモデルになれば」と語った。

 菅原について聞かれた市野会長は「良い勝ち方をしてくれた。(菅原は)仕事の関係で夏の試合は難しいが、強い相手とのオファーを待っています」と強豪との対戦を熱望した。この日、市野ジムから6選手が出場し、3勝2敗1分で興行を終えた。