[帰国会見]2019.5.21
井上尚弥「歓迎に疲れが吹き飛んだ!」
愛息を抱きしめる井上
衝撃のKO決着でWBA(世界ボクシング協会)バンタム級正規王座に続きIBF(国際ボクシング連盟)王座を獲得し、WBSS(ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ)バンタム級トーナメント決勝進出を果たした井上尚弥(大橋)が21日、決戦の地イギリス・グラスゴーから帰国。到着ロビーで家族と大勢のファンに出迎えられた井上は、表情を崩し一番に我が子を抱きしめた。
空港内での会見
その後、空港内に用意された部屋で会見に応じた井上は、「移動で一睡もできずに疲れたが、あの歓迎ぶりに疲れが吹っ飛んだ」と笑顔を見せた。あらためて試合を振り返り、「やっている時は固さがあるなと思ったが、映像を見たらそれほど雑でもなかった。欲を言えば5ラウンドぐらいはやりたかったが、ロドリゲスとの技術戦はめちゃくちゃ楽しかった。それを見た人が面白かったと言ってくれたことがまた嬉しい。今回は100点がつけられる」と自己評価。父の真吾氏も「良いナオを知っているだけに初回の固さにビックリしたが、それを含めても良かったので85点」と高得点をつけた。
ドネアとは気持ち的にやりづらい
決勝戦で世界5階級王者でWBA同級スーパー王者ノニト・ドネア(フィリピン)と対戦する井上は、「ノニトをリスペクトしているし参考にしていた選手。交流もあるので、気持ちの切り替えがまだできていない」とコメント。「それでも試合は別。(ドネアが得意とする)左フックは距離さえ間違わなければもらうことはない。皆が思うように全盛期は過ぎていると思うが、あのキャリアは怖い」と警戒した。日時、場所は未定だが、井上は年内の日本開催を希望し、さらにWBSS後のことを問われると「まずはノニト戦」としながら、「まだバンタム級でしばらくはできる。フィットしない階級ではやりたくないし、身体の成長しだい」と答えた。
あの行為は相手陣営のミス
現地での調整から前日計量のリカバリーまですべてが上手くいった井上陣営だが、ひとつだけハプニングがあった。それはロドリゲスの公開練習時に、視察していた真吾氏がロドリゲスのトレーナーに2度ほど突き飛ばされ、真吾氏が怒りを抑える場面があったのだ。「その前からずっと睨んできたので、気にしないようにしていたが、さすがに突き飛ばしてきた時はやり返そうと思った。だが、ナオのことを考え抑えた。何もなくて良かった」(真吾氏)。「腹ただしかった。絶対に倒してやろうと思った」(尚弥)。これで井上の怒りを買ったロドリゲスは、結局2ラウンドに左フックを浴び倒れ、再開後にボディでフィニッシュに持ち込まれた。試合後はそのトレーナーが「グッドファイト」と真吾氏に握手をもとめてきたので、仲直りができたそうだ。
しばらくは家族とゆっくりする
「肉体面での疲労は少ないが、今回はプレッシャーもあり精神面で疲れた」。井上はしばらくはゆっくり家族と過ごし、英気を養った6月上旬あたりから練習を再開させる予定だ。