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[会見]2019.1.23

袴田事件が漫画に

漫画家の森氏と袴田さんの姉・秀子さん
 1966年に静岡県清水市で起きた強盗殺人事件の犯人とされ、47年間もの間拘禁されていた元プロボクサーの死刑囚、袴田巌さんの無罪を主張する日本プロボクシング協会(JPBA)は23日に都内で会見を開き、この「袴田事件」を題材とした漫画「スプリット・デシジョン~袴田巌 無実の元プロボクサー」を2月15日よりJPBA袴田巌支援委員会のホームページで掲載すると発表した。
※スプリット・デシジョンとは、ボクシングの判定において3人のジャッジが2対1に割れた際に使用する用語。袴田さんは1審の判決で裁判官3人の合議により2対1の多数決により死刑判決を下された。
左から真部会長、森氏、秀子さん、新田会長
 会見には支援委員会の新田渉世委員長、真部豊委員をはじめ、袴田さんの姉・秀子さん、執筆者の森重水氏が出席。限りなく冤罪が疑われる「袴田事件」は、これまでもドキュメンタリー番組や映画化などで袴田さんの無実が主張されてきたが、14年3月の釈放からいまだ再審請求が棄却され、82歳になる袴田さんは現在も死刑囚のままである。
  この状況を漫画という分かりやすい形で一般にも知ってもらおうと協会主導で企画し、自身も事件のあった清水市(現在は清水区)で育ち、さらにプロボクサーとして3戦のキャリアを持つ漫画家の森氏に依頼するにいたった。
自身もかつてリングに立った森氏
 この事件を子供の頃から知る機会があったという森氏は執筆にあたり、当時の取り調べを録音した音声テープ、書籍や映画などを参考に、決して支援者側の押しつけにならないよう、事実を伝えることを念頭に置いたという。現在は元日本スーパーフェザー級王者の矢代義光氏が主宰する矢代フィットネスクラブでトレーナーとしてボクシングに携わる森氏は、「私が所属していた三津山ジムの三津山立直前会長は、現役の頃に袴田さんと練習していた縁もある。ボクサーとしてもリスペクトする袴田さんの真実を、この漫画を通じて一人でも多くの人に知ってもらえたら」と想いを込めた。
支援に感謝した秀子さん
 また、姉の秀子さんは「巌は(長年の拘留により)いまだ精神的に不安定だが、身体は健康。正月も東京に行きたいと言ってきたので、後楽園に連れて行った」と袴田さんの近況を伝え、「私がいくら口で言っても(なかなか世間には)伝わらない。どんな形でもいいのでメッセージを発信し続けることが大事」と支援に感謝した。
広がれ、支援の輪
 漫画は全6回の予定で2月15日より毎月15日に掲載され、連載終了後は小冊子にして試合会場で配布する予定もある。これを機会に事件に興味を持つ人の輪が広がり、司法を動かし再審に繋がればと祈るばかりだ。