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[原功コラム]2018.3.9

耳噛み事件の罰金は3億6千万円!

伝説のヘビー級ファイター
 タイソン対ホリフィールドの再戦は97年6月、ラスベガスのMGMグランドガーデン・アリーナで行われた。初戦とは立場が逆になり、タイソンは挑戦者としてリングに上がった。この試合のファイトマネーはホリフィールドが3500万ドル(当時のレートで約42億円)、タイソンにも3000万ドル(約36億円)が最低保証された。ふたり合わせて78億円という驚愕の金額だ。
 世界中が注目した再戦だったが、試合は思いがけない結末を迎える。劣勢だったタイソンが相手の耳を噛みちぎったため3回で失格、反則負けとなったのだ。この世紀の再戦はファイト・オブ・ザ・イヤーならぬ「Bite Of The Ear(耳齧り)」として記憶されることになった。ちなみに試合を管理するネバダ州アスレチック・コミッションはタイソンのライセンスを没収するという重い処分を言い渡すとともに罰金を科した。その金額は300万ドル(約3億6000万円)だった。これは日本人サラリーマンの平均生涯賃金の1.5倍に相当する金額である。
 5年後の2002年6月、タイソンは結果的に最後となる世界戦のリングに上がる。対角のコーナーに陣取ったのはWBC、IBFヘビー級王者のレノックス・ルイス(英)だった。このときのタイソンの報酬はルイスと同額の1750万ドル(当時のレートで約22億円)だった。肝心の試合はルイスの8回KO勝ちという結果に終わっている。このころ、すでに経済的に困窮していたと伝えられるタイソンは負けた直後のリング上で、「次の(報酬の)支払日はいつになるのだろう?」と自身の懐を心配するコメントを発したものだ。
 こうした試合を含めタイソンは1985年のプロデビューから2005年のラストファイトまで58戦(50勝44KO6敗2無効試合)をこなし、約340億円を稼いだといわれた。しかし、そのすべてを使い切ったうえ引退前後には30億円前後の負債を抱えて破産したのだから、ある意味、豪快な生き方といえるのかもしれない。
 そんなタイソンよりもリング上で稼ぎ、かつ堅実に蓄財したスーパースターもいる。