ボクシングモバイルニュース
[原功コラム]2018.3.1

距離を巡る攻防がカギ

初回から瞬き厳禁
 「PANTERA(豹)」の異名を授かるルイス・ネリ(メキシコ)が25戦全勝(19KO)、「GOD LEFT(神の左)」というニックネームを持つ山中が30戦27勝(19KO)1敗2分。ともにサウスポーのハードパンチャーで、ネリが76パーセント、山中慎介(帝拳)が63パーセントと軽量級では極めて高いKO率を誇る。

 ただし、戦闘スタイルと攻め落とす方法は異なる。身長165センチのネリは下から突き上げるようにしながら相手にプレッシャーをかけ、中近距離に入るとパワフルで回転の速い左右を強振して倒してしまう連打型の選手といっていいだろう。山中との初戦はネリからみれば理想的な試合展開だったことになる。
タイプの違うサウスポーKOキング対決!
 対する山中は、中長距離から鋭く踏み込んで打ち抜く左ストレートで仕留めるワンパンチ・フィニッシャーといえる。破壊的な左に隠れて見落とされがちだが、射程と角度をつくるための足の動き、右ジャブも巧みだ。両者は同じ左ボクサーファイター型というカテゴリーに入るが、好戦的なネリはファイター型寄り、捌きながら戦う山中はボクサー型寄りといえる。
KO決着必至のビッグマッチ!
 昨年8月の初戦がそうだったように、今回も初回から一瞬も目の離せないスリリングな攻防が展開されるものと思われる。4回とはいえ一度は拳を交えて相手の戦力を身を持って知っているだけに、今回は主導権を握るためにお互いがさらに早く仕掛ける可能性が高い。低い姿勢からプレッシャーをかけて距離を潰しにかかるネリ、適度に足をつかいながら右ジャブから左ストレートを繰り出して突き放そうとする山中。まずは距離を巡る攻防に注目したい。初戦がそうだったように、ネリが下から煽るような展開に持ち込んで前王者を下がらせる展開に持ち込むようならば、王者の返り討ちが濃厚といえる。逆に山中が伝家の宝刀を早めに当てて逆にネリを後退させることができればリベンジと返り咲きが見えてくる。仮に山中が受けに回ったとしても、打ち急いでスキができたネリに左を合わせて形勢逆転という可能性もある。また、競った状態で勝負が長引いた場合、8ラウンド以上の長丁場を13度経験している山中(ネリは4度)のキャリアが生きてきそうだ。いずれにしてもKO決着必至、瞬き厳禁の試合になることは間違いない。